英国のバンド、ヘンリー・カウは、オープン・インプロヴィゼーション、宝石細工のような歌詞、逸脱するメロディ、自発性の執拗な追求によって、ロックを限界まで押し上げた。1968年の結成から、ヴァージン・レコーズ所属を経て、10年後の解散に至るまでを、メンバーやスタッフへの90本のインタヴュー、手紙、ノート、楽譜、日記、議事録などをもとにたどる本書は、カウの比類なき音楽を精緻に解き明かすとともに、世界を変えるアヴァンギャルドの予測不能な潜在力を証明してみせる。モノグラフを超え、美学史や文化研究に再考を迫る、きわめつけの労作。★写真・図版多数収録★ 原書:Henry Cow: The World Is a Problem by Piekut Benjamin, Duke UP, 2019.
■著者について 松本 直美 Naomi Matsumoto 京都市生まれ。英国ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ音楽学部上級講師。専門は歴史的音楽学、特にオペラ研究。愛知県立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業、トリニティ音楽大学大学院声楽専攻修了、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ音楽学部大学院修士課程ならびに博士課程修了。17世紀及び19世紀のオペラの研究でこれまでにOverseas Research Scheme Award、British Federation of Women Graduates National Award、Gladys Krieble Delmas Foundation British Award、イタリア ルッカ市ロータリークラブ プッチーニ研究コンクール特別賞などを受賞。