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注目のコーチングレッスン、 どう取り入れる? 青木理恵 保科陽子
目標に最高の条件で ―― まず「コーチング」とはどのようなものか、ご説明いただけますか? ●保科先生(以下敬称略) コーチングの語源は「COACH(=馬車)」から来ています。日々の漠然とした行動には、目標達成という点においては効果につながらないものも実は多く含まれています。そこで、コーチングではまずきちんと目標を決め、その目標に対してどういうイメージを抱くか、そしてどういう行動のアイデアを持つか、さらにそれを実践してみてどうか…… という理想的な行動パターンを、コーチとクライアント(=依頼者)がお互いにコミュニケーションをとりながら作っていきます。 ―― 実際の進め方とは、どのように? ◆青木 コーチはまずクライアントに対して、頭を整理するための質問を作ります。例えば「将来ピアノが上手になりたい」と漠然と思っている人には、「もう少し詳しく聴かせてください」「将来って何年先のことですか?」といった質問を、相手の感覚や性格をよく見た上で投げかけます。そして、相手から出た気づきや答えを行動に結びつけながら、ゴールまでサポートしていきます。コーチとクライアントが一緒になって確実に目標に到達できるのが、コーチングのいいところだと思いますね。 ●保科 目標達成には、本人の「気づき」はすごく大切ですね。1953年にエール大学が発表した調査結果 (※)では、自分で明確な目標を立てて行動する場合と、そうでない場合とでは、達成度に明らかな違いが出ることが証明されているそうですから。そういうところにも、これからのコーチングの可能性が秘められていると思いますね。 ◆青木 それに、自分自身で目標を設定し、クリアしていくことで、その人自身の心のあり方も違ってきますよね。目標を自分でひとつひとつ見つけて答えを出していくことができれば、あらゆることにポジティブに取り組んでいけるのではないでしょうか。 すべて生徒から ―― 先生方ご自身は、コーチングをレッスンに取り入れられていかがでしたか? ●保科 レッスンがすごく楽になりましたね。私はレッスンの前に、目標を生徒自身から引き出すことから始めます。すると、生徒からも「○○の曲を弾けるようになりたい」とか「コンクールを受けたい」とい 目の前のその子自身を認めて ―― 先生方は現在セミナー講師としてもご活躍中ですが、セミナーを通じてお感じになっていることはありますか? ◆青木 皆さんコミュニケーションでご苦労されていることを改めて感じています。レッスンって、時間に追われて「さあ、弾いて」と短い言葉でも進められちゃうんですよね。それで、レッスンを終えて帰る生徒の後ろ姿が何となく沈んでいるのを見て胸が痛んでも、すぐに次の生徒が入ってきますし、「前の子のレッスンを引きずったまま、次の生徒に当たってしまうこともあります」という声を聞くこともあります。そういったことから、講座では特に、生徒のタイプ別にアプローチの仕方をお話しできればと思いますね。 ●保科 私はお母さん向けのセミナーをすることが多いんですが、親子間でもコミュニケーションにまつわる悩みは多いですね。コーチングでよく使われる「テーラーメード(=tailor made)」という言葉があるんですが、これは目の前のその子自身を認めて、その子に合ったコミュニケーションをしましょう、ということなんです。お母さんって、わが子をほかの子とどうしても比べてしまったりしますよね。でも、お母さん自身がその子のよさをわかって、認めてあげることは、コーチングの効果を高める上でもすごく大切なことです。また、レッスンにおいても、先生 ― 生徒 ― お母さんのそれぞれの間で信頼関係ができていることはとても大切ですね。コーチングではそういったところも整えていけたらいいなと思います。 ―― そういうふうにいいコミュニケーションが親子間でも師弟間でもはかれていくと、生徒さんは幸せですよね。 ◆青木 そうですね、やめる子もやめさせる親も少なくなると思います。楽しく、長くピアノを続けていってほしいですね。 ―― それでは最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。 ●保科 私はコーチングによって、生徒の心の中にすばらしい宝物が眠っていることに気づくことができました。先生方が普段のレッスンの中にコーチングを取り入れてくださることによって、たくさんの宝物が引き出されていったらとても嬉しいですね。レッスンのほんのポイントで使うやり方でも十分だと思います。先生方もそれぞれ素敵なティーチングをしていらっしゃるので、その中で「今ちょっとティーチングがうまくいかないから、この部分だけコーチングに替えてみよう」という感じで気軽に取り入れていただければと思います。 ◆青木 生徒一人ひとりの「こうしたい」という思いを尊重し、それをうまく行動に結びつけていくことで、生徒さんのモチベーションが一週間続くようなレッスンをしたいですね。たとえ疲れ切ってレッスンに来たとしても、帰る頃にはすっかり元気になって「来週はやってくるから!」と、明るく言えるようなレッスンですね。そういったモチベーションを一週間キープしたまま翌週もレッスンに来ることができれば、演奏そのものもずい分違ってくるのではないかと思います。ピアノ界の色が明るい色に変わることを、心から願っています。 (構成・文 LPO編集室) 青木理恵(あおき・りえ) 保科陽子(ほしな・ようこ)
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