2004.4月 第61号


これぞピアノレッスンのためのワーク!!
ピアノ・レッスンをバックアップする
わかーるワーク
導入編1〜3/基礎編1〜3/発展編1〜3


岩瀬洋子・田村智子

ミュージックランド 刊/各735円

◎ 著者のお二人にお話をうかがいました! ◎

♪レッスンに直結し、生徒が自力で進めていけるワーク

―― このワークの一番大きな特徴とは?

岩瀬.「わかーるワーク」の最大の特徴は、内容を非常に吟味して、実際のレッスンに直結した「譜読み」「リズム」「演奏に必要な楽典」の3点に絞っていることです。一概にワークといっても、中には「趣味でピアノを弾く生徒にここまでやらせる必要があるの?」というくらい高度な内容にまで踏み込んでいるものもあるため、せっかく取り入れても途中で挫折してしまうケースも多いんですね。専門的な方向に進む生徒はともかく、ほとんどの生徒は趣味でピアノを進めていく中で、ワークの意義ってなんだろうと思った時、やっぱり実際の演奏、レッスンに直結していることが一番だと思ったんです。
 また「生徒が自己管理できる」ワークであること。ワークのために先生が時間を割かれてしまうのではなく、生徒が自力で進めていけるように出題の仕方や言葉かけをわかりやすくしたり、丸つけの部分でも先生やお父さんお母さんがいなくても生徒が管理できるなど、「かゆいところに手が届く」工夫をたくさん凝らしてあります。

―― では、内容について教えて下さい。

岩瀬.
このワークは「導入編」「基礎編」「発展編」各3巻の合計9巻で、最初の2〜3ページでその前の巻の復習をするので、どの巻からもスムーズに始めることができます。ワークを自力で進めていくという意味では、生徒が「あ、カンタン」と思えるレベルから始めると無理がないと思います。

田村. レッスンで役立つ一番特徴的なことは「鍵盤と楽譜を結びつけていること」。ワークの中で常にへ音記号を左側、ト音記号を右側に配置して実際の鍵盤と一致させているので、最初から無理なく同時に学んでいくことができます。
 次に、似たような問題をだんだん複雑な形にしながらくり返し出題していること。例えばドレミでも「レミド」「ミドレ」などいろんなパターンで書いたり、実際にピアノで弾いてみる。そういう意味では、実際のレッスンにも使えます。

岩瀬.やっぱりワークには、ある程度の量と反復が必要なのね。同じ方法で反復すると子どもは飽きちゃうけど、例えば質問方法を「あみだくじ」にするとか(笑)、生徒が興味と達成感を持ってバランスよく学習できる多彩なアプローチが必要だと思います。
 それから「基礎編」では、さまざまな音符や記号の関連性を理解させるための問題を数多く盛り込んでいます。例えば、音符の名前や長さが分かっても、実際に演奏で活きなければ意味がありません。強弱記号や速度記号も同じですよね。このワークでは、それぞれの対比がはっきり理解できる
ように工夫してあります。

―― 「アレグロ」や「アレグレット」など混同しがちなことも、きっちり学べますね。

岩瀬.レッスンで生徒にfとmfを「どっちが強い?」と尋ねると、mfと答える子がいます。「メゾ」がつくからカッコよく、強く思えるみたい(笑)。また、学校のテストでは「やや強く」と答えれば正解になるけど、今の子は普通の会話で「やや」なんて言葉は使わないし、実際に「やや」って何?と聞いてみると、とんでもないことを思っていたりする。だから、教師は生徒がひとつひとつのことを本当に理解しているかを確かめなくてはいけないんです。

♪「達成感」を経験させたい。

田村.一方「発展編」では、実際の2小節くらいの楽譜を例題に「1オクターブ上げましょう」「これは何音符でしょう?」など、楽譜の中のものを答えさせます。

岩瀬.ここでは、これまで学んできたことを実際の楽譜の中でちゃんと理解できているかを確認します。例えば初めての曲を渡す時、自力で楽譜を読めない生徒に、教師は「これは何の音? fはどういう意味?」などの手助けをしますが、「発展編」では、それをワークでくり返し学習します。そういう学習をしている子は、実際に自分で演奏する時にその内容が活きてきます。また、「発展編」は、左ページが実践学習、右ページが反復学習できるようになっています。そこにもやはり「ピアノレッスンをバックアップする」という想いがあります。やった内容がレッスンに活きてこそ、このワークの価値があるのです。

田村.実は「基礎編」「発展編」は、現在私立学校の音楽の授業で教材として使われているんです。これには私たちもへぇ〜っと思ったんですが、今は学校でも理論だけではダメで、活きた学習が求められている……そういう意味では、ただ書くだけではないということが評価されたのかも知れません。

岩瀬.レッスンの現場でも、負担なくレッスンに取り入れやすいと喜ばれています。実際、生徒は楽しそうで、あるご家庭ではピアノを弾かない子もやりたがるらしいの。特に男の子はそうみたい。きっとやってておもしろいんでしょうね。
 やはり大切なことは、「僕でもやれた!」という達成感を生徒に経験させることだと思うんです。進むにつれてわからなくなって、先生に「後ろの方は専門的なことだから、もうやらなくていいわ」と言われてしまったら、せっかくワークをやっても達成感ではなく挫折感を味わってしまう。最初は楽しくやれていたのに、最後で挫折感をもって終わるというのはやっぱりいけないと思うのね。「ヤッター終われたぞ!」と達成感を持って終了した方がお互い気持ちがいいし、もっとやりたい人はさらに進んでいけばいいわけです。そういう意味でも、「わかーるワーク」は先生にとっても使いやすいワークではないかと思います。

♪「丸つけ」も、自分で。

田村.「丸つけ」にも工夫があって、生徒が自分で丸つけがしやすいように、解答が実際のページを縮小したものに書かれていて、巻末切り取り式になっています。私たちの教室では、ビデオテープのケースを半分に切って、例えば「導入」だったら赤、「基礎」だったら青いテープを巻いて、「導入1の○ページ」といった見出しをつけてレッスン室に置いています。すると、子どもたちがそこから自分で解答を見つけて、丸つけができる。自分で丸つけをすることは、子どもたちにとっても先生から信頼されているようでうれしいみたいです。

岩瀬.たまに生徒同士で丸つけをさせることもあるんですが、「ここの線が出てる」とか、もう厳しいこと(笑)。でも自分たちで丸つけをすることで「やりっぱなし」がないのね。ワークで学んだことを生徒が活かせるためには、すぐに答え合わせができる環境を作るということも、先生の工夫のひとつではないかと思います。

田村.だから先生はあらかじめ解答ページを切り取っておいて下さい。答えが後ろに全部書いてあるから(笑)。

岩瀬.ただ、中にはお家に持ち帰ってやる子もいます。そういう場合は、普段はお家の方に解答を管理していただいて、生徒が丸つけをする時に渡してもらう方法もある。でも、そういう子に関しては、やりっぱなしにならないためにも、先生が何らかの形でチェックを入れる必要があります。

田村.その場合、各巻最後の「まとめ」の部分を最初に切り取っておいて、テストとして使ってもいい。それをチェックすることで本当に力がついているかを判断できるし、生徒もテストがあるから普段ちゃんとやってないと次には進めないんだなということが分かる。そんな使い方もできます。

―― それでは、新学期を迎えるにあたって読者にメッセージをお願いします。

岩瀬.新学期は新しい生徒も入会するけれど、同時にやめていく生徒もいて、別れの季節でもあります。悲しいのは、「本当はもっと続けてほしいのに」という別れです。でも音楽って、小学6年とか中学3年で終わり、というものではありませんよね。だから先生も「ああ残念ね」だけで終わらないで「続けてほしい」という姿勢を素直に出してもいいんじゃないかなと思います。音楽ってこんな良さがあるんだよ、音楽って先に続くんだよ、ということを伝えられるのは私たちピアノ教師だから、生徒たちが継続して音楽を続けていけるように応援してあげることをぜひあきらめないでほしいと思うのです。それがメッセージかな。

田村.私は新しい生徒を迎える上で一番大切なのは、先生がその生徒を好きだということをきちんと伝えられることだと思います。こう言ったらすごく語弊があるかもしれないけど、本やメソードはなんでも構わないの。とにかく、まずその子と先生がとてもいい関係になることに一番神経を向けてほしい。「好きよ!」「来てくれてありがとう!」という気持ちを目一杯表して、「私のこと、僕のことをレッスンするのを楽しみに待ってくれてるんだな」と生徒が感じられるような関係を作ることが、まず第一歩だと思います。  

(取材・文 LPO編集室)

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