2004.1月 第58号


来たる新学期に備えて……!

「演奏法」について、
  おさらいしておく!

*** 演奏法&テクニック本特集 ***


 皆さま明けましておめでとうございます。
時の経つのは早いもので、もうあと数ヶ月も
すると、新学期を迎えます。より充実したレッスンを
行なっていくためにも、今一度、演奏法の基本を
おさらいするにはこの時期はちょうどよい
タイミングなのかもしれません。
 ……ということで、今回は「演奏法&テクニック」本を
特集。小手先のテクニックを謳ったものではなく、
からだと心、ピアノ、作品に対する深い洞察……
これらのさまざまな関係性の中に生まれる
テクニックについて著した本を、
新刊を中心にご紹介します!

「ピアノ奏法20のポイント 〜振り付けによるレッスン」
 (セイモア・バーンスタイン 著/
  大木裕子・久野理恵子 訳/音友 3400円)


各レッスンでは、写真と譜例を多く使用。
それらに沿って自分の身体と
じっくり向き合う作業は何とも楽しい!

 1999年に出版され、「ピアノを練習する」ことがもたらす豊かな世界に多くの人が共感した「心で弾くピアノ〜音楽による自己発見」(音友 2500円)。 本書は、その中で取り上げていた「テクニック」の部分を、より詳しく具体的に著したもの。
 テーマとなっているのは、「音楽そのもの」と「自らの感情」と「自らの身体」を緊密に結びつけるための、身体の動かし方を学ぶこと。例えば、演奏テクニックにおいて重要な「スラー」「スタッカート」「休符」は、たった3つの指示記号でしか表されませんが、それらを実際にピアノで弾くには「縦」「横」「回旋」を組み合わせたさまざまな動きが存在し、それによって、指、手首、腕、上体など、それぞれの部位をどのように動かすかが求められてきます。
 そこで、筆者はこれらの動きにまつわる 振り付け を具体的に指示する表示記号を考案。演奏者が楽譜から読み取る音楽的な感情を正確に鍵盤に合致させられるよう、20の具体的な提案と実例がまとめられています。
 「音楽をする」ということはどういうことなのか、作品と楽器、そして自分自身との一体感を得るためには何が必要なのか……?それらの問いについて、具体的かつ実践的なアドバイスが詰まった一冊。

「ソアレスのピアノ講座〜音の世界〜
演奏と指導のハンドブック」

 (クラウディオ・ソアレス 著/ヤマハ 1700円)


薄型ながら譜例や図も要所要所に
掲載、演奏と指導のエッセンスが
コンパクトにまとめられています。

  1983年の来日以来、演奏活動のかたわら教育者としても力を注ぐ、ブラジル人ピアニスト・クラウディオ・ソアレス氏が講師を務める公開講座「音の世界〜ピアノを語る」での内容をもとに、演奏と指導のポイントをわかりやすく具体的にまとめたもの。数多くのコンクール入賞者を育てたレッスンのエッセンスを学ぶことができます。
 特に第3章「レッスンのアウトライン〜教育的なポイント〜」での、定番テクニック教材「バーナム ピアノテクニック」を使った練習の実際例は先生方必読です!
 また、シリーズ続巻
ソアレスのピアノ講座〜音の世界〜 バッハ演奏と指導のハンドブック」(ヤマハ 2300円)もおすすめ。

「明解ピアノ上達法」
(川染雅嗣 著/ショパン 1500円)

“ピアノが無駄なく上達する近道”
というテーマが、今のレッスン事情を
捉えてますよね。筆者自ら写真で示す
「良い例」「悪い例」もぜひ参考に。

  「間違ったフォームで弾いていませんか?」「合理的な練習方法をしていますか?」「無駄な努力をしていませんか?」など、なんともドキッとさせられるキャッチコピーがついている本書は、現在音楽大学で教鞭を執る筆者が、 ピアノが無駄なく上達する近道 をテーマに、基本的なテクニックをわかりやすく解説した一冊。内容は「基礎編」と「実践編」に分かれていて、特に「実践編」では、チェルニー50番、ショパンのエチュード、バッハの平均律、ベートーヴェンのソナタなど、おなじみの曲を取り上げているので、普段のレッスンにも直結した内容。もともとは音大志望者に向けて書かれた内容なので、基本的なテクニックを習得するための項目が網羅されています。
  テクニックについてひと通りおさらいしたい先生はもちろん、より高度なレベルを目指す生徒さんにすすめてあげても。

「横山幸雄 ピアノQ&A  上・下」
 (横山幸雄 著/ショパン
(上)1300円/(下)1400円)

下巻「プロ演奏家の秘密」では、
横山さんご自身の秘められたエピソード、
本音も語られています。

 最近は作曲などますます活躍の場を広げている実力派ピアニスト・横山幸雄氏が、月刊誌「ショパン」にて連載した読者とのQ&Aをベースに大幅な加筆を行ない、7年越しで上下巻にまとめたもの。全部で136にもなる質問には、テクニックに関するものも多く含まれ、そのいずれもが見逃せない内容となっています。
 さらに印象的なのは、質問ひとつひとつに対する横山氏の回答の真摯さと柔軟性。質問者は、年齢・ピアノ歴もさまざまな月刊誌の読者で、質問内容も「ピアノの魅力とは?」「指づかいは守らないといけない?」から「コンクールの意味は?」「バッハを現代ピアノで弾く意味は?」まで非常にバラエティに富み、なおかつ歯に衣着せぬ率直なもの。しかし、これらの質問すべてに的確かつ誠実に回答している横山氏は、やはりさすがというべき存在。
 生徒さんとのやりとりに行き詰まった時などにも、ぜひ参考にしてほしい書です。

「ピアノのための4期の本
バロック期・古典期・ロマン期と近・現代

(中村菊子 著/全音 2200円)

演奏法解説書は数あれど、このように
時代を系統立てて編まれたものは
なかなかありませんでした。
コンクールや受験対策にもゼヒ!

 本書は「時代別の演奏スタイルを学ぶ」ための手引書。さまざまなテクニックの数々も、その曲が生まれた時代のスタイルに沿ってこそ輝きを放つもの。そのため、本書では音楽史の各時代の演奏スタイル、楽器の変遷、作曲家とその時代的背景や、その他さまざまな知識を広く解説することによって、各時代の作品を的確に、より知的に演奏表現することを提案しています。
 また、4期別レパートリーの情報収集には、
「ピアノ作曲家 作品事典」(中村菊子・大竹紀子 編/ヤマハ 4200円)がオススメ。


5分で演奏モードの身体をつくる
フィンガネス・エクササイズ」
(神原泰三 著/音友 1800円)

「5分で演奏モードの身体をつくる」……
思わず目からウロコが落ちた思いがした
方も多いのでは? 生徒さんと2人でできる
エクササイズもあります。

 こちらは具体的な演奏テクニックを解説した本ではありませんが、演奏法を考える上で併せてチェックしていただきたい一冊としてご紹介。
 本書はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ギター、管楽器などすべての楽器の演奏者に向けて、「演奏前の身体の調整」「疲れない演奏法」「苦手な奏法の克服」「指の回りをよくする」「滑らかな腕をつくる」をテーマに、役立つエクササイズを満載。心とからだ、頭と指などのネットワークを活性化することによって「心の中に響く理想の音を思い通りに演奏する」ことを可能にします。
 すべてのエクササイズが写真で説明されているので、わかりやすさはバツグン。ぜひ生徒さんとご一緒にお試し下さい!

(取材・文 LPO編集室)



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