2002.10月 第43号


体すべてが楽器です!

*ボディパーカッション レッスン活用法*


山田俊之


●ボディパーカッションとは?

「パン!」(手拍子)、「タン!」(おなかを叩く)、「パチン!」(ひざ打ち)、「ドン!」(足踏み)、「ペシッ!」(お尻を叩く)……などなど。
 ボディパーカッションは、体全体で楽しむことのできるリズム表現です。今回は、ピアノ・レッスンの中でボディパーカッションを楽しく活かせる、手拍子を中心にしたリズム遊びをご紹介してみたいと思います。

●ボディパーカッションの特徴

 私は今年に入って2回、主にピアノの先生方を対象にした「ボディパーカッション・ワークショップ」で講師を務め、広島・名古屋の両会場合わせて約150名の方に参加していただきました。
 その際、「大変楽しかったので、ぜひ自分のピアノ教室の発表会で取り入れたい」「楽器なし、楽譜なし、歌なしで音楽が楽しめるなんてビックリ!」「これだったら幼児でも楽しめる」「体が楽器の音楽があったなんて目からウロコが落ちました」などの声をみなさんからいただきました。

1 楽器がなくても
2 音符が読めなくても
3 歌を上手に歌えなくても


誰でも楽しむことができるのが、ボディパーカッションの最大の特徴です。
 この機会に、読者の皆さまにもぜひその楽しさをお楽しみいただければと思います。

●集中が苦手な子どもでもOK!
     ―― どんな効果が期待できるか

 「ボディパーカッション」という名称は、「体=ボディ」と「打楽器=パーカッション」からなる造語です。ですから、体一つでどこでも行なうことができます。また、ボディパーカッションを用いたリズム遊びは、指導者を見ていないと参加できませんので、自然と子どもたちが先生に集中するようになります。
 そもそもこれらのリズム遊びは、今から16年前に、日頃学校の授業になかなか集中できない子どもたちの集中力を何とか高めたいと願って「山ちゃんの楽しいリズムスクール」(私の名前が「山田」なので「山ちゃん」)のコーナーを作り、音楽の授業の導入や「朝の会」「帰りの会」「学級会」「集会活動」の中ではじめたものです。
 特に「リズム遊び」や「まねっこリズム」などは、日頃なかなか集中するのが苦手な子どもたち、特に元気の良い男の子には効果的だと思います。

●「リズムを合わせる」ことでN響と共演!     
      ―― ボディパーカッションの効用

 昨年12月、私が主宰する「ボディパーカッションクラブ」は、NHK交響楽団メンバーとボディパーカッションで共演するコンサートを行ないました。
 子どもたちの中にはボディパーカッションを始めてわずか4か月の子ども(小学校4年生)もいましたが、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「ボレロ」「“くるみ割り人形”から「トレパーク」」「剣の舞」など8曲を一緒に演奏することができました。
 この時ほど、リズムの大切さを感じたことはありませんでした。音程やハーモニー以前に、いわゆる「リズム ― 音符の縦の線 ― を合わせる」ことが、NHK交響楽団とのアンサンブルを可能にしてくれたのです。そういった点からも、このボディパーカッションはリズム・アンサンブルのトレーニングにも大変効果的ではないでしょうか。
 また、子どもたちはもとより、高齢者や障害者(知的障害、聴覚障害、視覚障害、精神障害)や不登校児施設でも大変有効だったことを付け加えておきます。

●こんなに簡単にできますよ!
              ―― 活用例

 ここでいくつか「リズム遊び」の活用方法を、具体的に内容を説明しながらお伝えしたいと思います。その時、楽譜は提示せず、楽器も一切使わずに、指導者の身振り手振りと言葉の説明だけで行ないます。ですから、屋内・屋外にかかわらずどんな場所でも行なうことができます。

【リズム遊び編】

(1)ハンカチリズム

 身近にあるハンカチを使った楽しいリズム遊びです。この遊びは、先生がハンカチを回し、子どもたちは、それを見ながらハンカチが回っている間だけ拍手をする遊びです。そして、先生がハンカチを回すのをやめたら、拍手をやめるようにします。
 ただそれだけのリズム遊びですが、先生に対する集中力がついてきます。

(2)手回しリズム
 片手を頭よりも高く上げて、腕全体や手首や指先などを回して、子どもたちはその手が回っている間だけ拍手をするリズム遊びです。
 回し方に違いがありますので、音の大きさで音楽的な表現ができます。
[例]腕全体を回す…大きな拍手=ff、ひじから回す…元気な拍手=f、手首から回す…普通の拍手=p、人差し指を回す…小さな拍手=pp

(3)手合わせリズム
 次は先生が手を交差させて両方の手のひらがピッタリ合った時、1回だけ手拍子を打つというリズム遊びです。この遊びは、よりいっそう子供たちの集中力を高めることになります。
 最後に「3・3・7拍子」のようなリズムを作ると楽しい雰囲気になります。

【まねっこリズム編】

 手拍子のリズム遊びの後は、いよいよ体全体を使ってリズム遊びをします。
 先生が1小節のリズムを「タン・タン・タン・ウン」と打ちます。そしてそのリズムを子どもたちが まね をして応えるという「リズムの模倣」、いわゆる「オウム返し」のリズム遊びです。その時、体を打つ(鳴らす)場所を次のとおり9箇所(手拍子、肩、胸、おなか、ひざ、すね、足踏み、おしり、ジャンプ)使います。これもボディパーカッションで行なうと、とても難しくて楽しいものになります。

【ボディパーカッション編】

「手拍子の花束」(バージョン1)


 それでは最後に、手拍子だけでできる簡単な曲をご紹介しましょう。曲名は
「手拍子の花束」(バージョン1)です。子どもたちが手拍子を打っている時、その打っている手がたくさん集まると花束に見えたので、この名前を付けました。

 全体の人数を3つのパートに分けて譜例のような簡単なリズムを組み合わせていきます。“バージョン1”としていますのは、実はこの曲はなんと“バージョン12”まであり、段階的に難しくなっていくからです。ですから、生徒の習熟度に沿って段階的に指導を行なうことができます。
 また、“バージョン3”からは子どもたちの即興演奏(アドリブ)を入れていきますので、よりいっそう楽しくなります。

●おわりに

 ボディパーカッションついて少しはお分かりいただけたでしょうか? これらのリズム遊びはピアノ・レッスンやグループ音楽の時間でも楽しめますが、発表会などでも利用できるのではないでしょうか。幼児から大人までみんなで楽しめるこのボディパーカッションが、様々な場所で活用されることを願っています。
 ボディパーカッションについてもっとお知りになりたい場合は、ホームページ(文末にアドレス記載)や私の著書

「ボディパーカッション入門」
「楽しいボディパーカッション1
リズムで遊ぼう
をご覧下さい。
「楽しいボディパーカッション2 山ちゃんのリズムスクール
も近々発刊の予定です。

 また、ビデオシリーズ全3巻

「楽しいボディパーカッション Part1 リズム遊び」
「同 Part2 花火」
「同 Part3 手拍子の花束」

もあります。これらは、私のリズムに対する考え方やボディパーカッションの生まれた背景、教え方を、映像とともに詳しく説明しています。(書籍・ビデオはすべて音楽之友社より刊行)

 さらに、「NPO(特定非営利活動法人)ボディパーカッション協会」へ入会いただきますと、最新情報や出版、ワークショップ(実技研修会)、演奏会のご案内をしています。

*当協会では楽器が購入できない海外の子どもたちへ普及を  目指しています。
*「通信会員」(年1000円)、「正会員」 (年2000円)です。


《ボディパーカッション協会連絡先》

 〒830-0059 福岡県久留米市江戸屋敷2-4-33-1     
 TEL&FAX 0942-32-5738
 
 URL http://www.body-p.com
 
e-mail:yamada@body-p.com
                                  ( 完 )


★山田俊之プロフィール

大学卒業後、音楽企画の仕事を経て28才で小学校教師になる。打楽器歴30年。授業になかなか集中できない子どものためのリズム遊び「山ちゃんの楽しいリズムスクール」を考案し、手拍子から体を叩いてリズムアンサンブルを作るボディパーカッションに発展させる。94年、児童の音楽団体「ボディパーカッションクラブ」を結成し、NHK交響楽団トップメンバー、南アフリカ太鼓グループ「アズマ」、ジャズの日野晧正氏(トランペット)等、あらゆるジャンルの演奏家と共演する。02年、NPO(特定非営利活動法人)ボディパーカッション協会を設立。小学校をはじめとして幼稚園、保育園、中学・高校・大学、養護学校、聾学校、盲学校、不登校施設、精神科入院病棟、高齢者・福祉施設などで実践指導を行なっている。
現在、福岡県久留米市立荒木小学校教諭、NPOボディパーカッション協会理事。



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