2002.2月 第35号


「作曲家と出会う」シリーズ 著者

ハンス=ギュンター・ホイマン氏
インタビュー

「作曲家と出会う」シリーズ日本語版刊行によせて


 
昨年の10月に日本語版として出版された「作曲家と出会う」シリーズ(リットーミュージック)。その詳しい特徴はテキスト紹介記事でもご紹介した通りですが、ここはやはり、著者のハンス=ギュンター・ホイマン氏にも、ぜひお話をうかがいたいと思いました!
 今回リットーミュージックさんのご協力により、ホイマン氏への取材が実現。
「作曲家と出会う」シリーズの制作秘話、ピアノレッスンやピアノアレンジに対するお考えなど、さまざまなお話をお聞きしました。

●ピアニストに包括的なコンセプトを

―― 「作曲家と出会う」シリーズは、作曲家自身の生涯や、当時の時代背景の解説に多くのページが割かれていたり、幅広いジャンル作品を収録していたりと、とてもユニークで魅力的なシリーズですが、このシリーズはどのようなアイデアから生まれたのでしょう?

 このシリーズにおける私の考えは、「ピアニストに包括的なコンセプトを提供すること」―― つまり、このシリーズを通じて、偉大な作曲家ひとりひとりの全てを総合的に理解する手助けをすることです。そのため、これまでの教本・曲集にはない、さまざまな工夫を凝らしてあります。
 まず収録曲については、ピアノ曲だけに限らず、協奏曲、交響曲、オペラ、管弦楽曲、室内楽曲、聖歌音楽、歌曲など、いろんなスタイルの作品から幅広く選び、そのそれぞれを簡単で興味深いアレンジに仕上げました。また、詳しい伝記や色鮮やかなイラストからは、作曲家達の人生や歴史的背景を見ることができます。そして、それぞれの作品については、簡潔な解説もつけました。
 これらを通じて、このシリーズを使用するピアニストが、作曲家とその音楽について、多くのことを詳しく学んでいく手助けになればと思っています。


「モーツァルトの生涯」のページより。
このように、美しい肖像画や図版がふんだんに
盛り込まれています。カラーでお見せできますよ!


●海外でも翻訳版が続々と刊行中

―― ユーザーからはどんな反響が寄せられていますか?

 専門家からの素晴らしい論評と、ピアノ講師やプレイヤーからの熱狂的な反響に加え、海外の音楽出版社がこのシリーズの翻訳版をすでに出版したところもあり、また翻訳したいと興味を持ってくれているところもあります。

* 書評の一部より *

◆教材として必要な一冊。鮮やかなイマジネーションで学ぶ
  ための最適な本。(Neue Musikzeitung)※1

◆作品の抜粋は巨匠達の音楽の素晴しい印象を与えてくれ
  ます。ピアノ演奏者への素敵なプレゼントです。(Piano) ※1

◆代表的な例題と豪華な装丁から見られる広範囲で包括的
  な概念。一冊まるごと成功している。
(Uben und Musizieren) ※1

◆大作である。私の生徒達もこのシリーズがお気に入りです。
  信じて精進していって下さい。(S.Kursawe)※2

◆ついに登場したシリーズ。素晴らしい音楽のセレクション
 (抜粋)と権威ある(本物の)写真。(H.Gahtan)※2

※1…… ドイツの著名音楽誌
※2…… ドイツの有名批評家・教育者

―― その海外出版社とは?

 つい最近、フランスのHenry Lemoine社から、このシリーズの翻訳版が出版されたところです。同様に、中国・上海、イギリスやイタリアでも、それぞれ出版が予定されています。

●教材選びで重要になってくるアレンジ

―― ところで、ホイマンさんはピアノの先生でもいらっしゃるそうですが、ドイツではどのようなピアノレッスンが行なわれているのですか? 

  ドイツでは、あるピアノの先生は伝統を守りながら、レッスンのほとんどを指の練習、練習曲の演奏、原作文献の研究に分けて生徒に教えます。一方、あらゆる種類の音楽(クラシックからジャズ、ポップス、ロックまで)をやるのが好きな先生もいます。そのような中でも、この20年間、現代的方法を用いた私の著書の数々が多くの方々に使用されてきたことは、とてもうれしいことだと思っています。

―― ドイツでは、ほとんどのピアノの先生とプレイヤーがホイマンさんの教材を使用されるそうで、シリーズ全体でミリオンセラーになっているともうかがっています。その人気の秘密には、ホイマンさん独特の素晴らしいアレンジがあるのではないかと思うのですが、アレンジで心がけていらっしゃることは、どのようなことでしょう?

 そうですね…… 私はピアノレッスン用の音楽の作曲やアレンジを通じて、子ども、そして大人の願いを実現させてきましたが、ピアノレッスンに関しては、ジャズやロックをクラシックと分け隔てなく扱うということは、とても重要なことだと考えています。
 また、アレンジに関しては、オリジナルサウンドにできるだけ近いもの、しかも楽しく簡単に弾けることがいちばんではないかと思っています。


LPOイチ押しのアレンジ、
チャイコフスキー「交響曲第5番」。
思わずうなる仕上がりです。


―― 今回の取材にあたって、このシリーズを実際にピアノで弾いてみましたが、簡単にアレンジされていながら、オリジナルの作品と同じ響きがするのにはびっくりしました! そういった意味では、日頃クラシック音楽に親しんでいる大人の生徒さんにとっても、とてもよい教材となりそうですね。

●あらゆる種類の音楽を総合的に教えることが大切

―― これからのピアノレッスンでは、どのようなことが大切になってくるとお考えですか?

  現代のピアノレッスンにおいては、音楽理論、音楽や作曲家についての情報、即興的作品など、全てのことを理解させるべきだと私は考えています。また、ロック、ポップスや、クラシック音楽の興味深いアレンジ作品などは、初心者がピアノを弾くことの楽しさを知ることや、彼らの視野を広げるためにとても有効です。

―― なるほど。では最後に、日本のピアノの先生へメッセージをお願いします。

  あらゆる種類の音楽をピアノで弾くことで生徒たちを楽しませることは、とても素晴らしく興味深いことです! 教材としてこのシリーズを効果的に使うには、先生自身もピアノに関わるクリエイティブな仕事や生活の中で、作曲家達とより近い状態にアクセスしやすくしておくことだと思います。           ( 完 )



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