2002.1月 第34号
育児と、育自と。
大人と子どものコミュニケーションマガジン
月刊「クーヨン」
月刊「クーヨン」編集長
岩間健亜

子どもの本の専門店として、ユニークな事業内容が知られるクレヨンハウスさん、その出版物もユニークです!
今回ご紹介する「クーヨン」はそのシンボル的存在。五味太郎さんのイラストの表紙が楽器店でも人目を惹きますが、実際はどんな雑誌なの?
「育児と育自」って……? これらの疑問について、編集長の岩間建亜さまにお話をうかがいました!
●音楽も“あそび”のひとつ。
――「クーヨン」は、「育児と、育自と。」というキャッチフレーズのもと、いろんな情報が詰まった、とてもユニークな雑誌ですね。でも、以前は「音楽広場」というタイトルで、内容もどちらかといえば音楽に重点を置かれていたように思うのですが……?
実は、もともと「音楽広場」は“幼児音楽誌”として発行したわけではなくて、“幼児教育誌”としてスタートしたんです。というのも、クレヨンハウスは子どもの本の専門店として26年前にスタートして、文学、科学、美術、音楽、性教育……
子どものためのあらゆるジャンルの本を扱っていく中で、自分たちでも“幼児教育誌”を作りたいと思ったんです。それがなぜ「音楽広場」というタイトルになったかというと、幼児教育、つまり「子どもの遊び」ということを考える時、やはり音楽があると遊びがぐんと楽しくなるということ、また、音楽が流れているということは平和な時代でもあるわけです。だから、子どもをいつも音楽が聞こえるような場所においておきたい、という願いをこめて「音楽広場」というタイトルをつけました。
したがって、音楽に関しては、今に至るまでずいぶん一生懸命やってきています。例えば、新しい人たちによる新しい「子どもの歌」の連載をスタートさせたり、「子どもたちの歌大賞」といったオリジナル作品を公募したり、といった具合にです。
ただ、私たちはあくまでも音楽を「学科の一つ」というより、「遊びの一つ」だと考えています。“あそび”というのは、幼児にとって、大きな意味があります。まず第一に、楽しくなくてはなりませんよね。次に、くだらないものではなく、少しステップアップしている必要があります。楽しいから遊び続けるのだし、遊びによって大きく成長するもの、それを“あそび”ととらえています。幼児にとっての音楽は、楽しい“あそび”であってほしいと思います。
一方、店舗としてのクレヨンハウスは、例えば現在東京店では、1階がこどもの本の専門店フロア、2階が木や自然素材を使ったおもちゃのフロア、3階が女性の本の専門店と衣料、化粧品のフロア、そして地下1階が食のフロアになっています。そして、全館に「オーガニック(=自然志向)」というテーマがあります。なぜこのようなスタイルになったかというと、食、衣料、教育…… 子どもをとりまくあらゆる環境を考えたときに、どの分野も大切にされなければなりません。さらに、もっと多くを学ぶ必要があるでしょう。ともかくそうやって、雑誌と店舗の両方で毎年いろんなことを学び、取り組んできたわけです。そうしているうちに、「音楽広場」がもう十分クレヨンハウス全体のことを表現している雑誌になってきたな、といえる時期に来たので、タイトルをクレヨンハウスのシンボルマークである「クーヨン」にしたんです。
●“リーダー”よりも“ガイド”を。
―― では、「クーヨン」についてお聞きします。それぞれの記事はどのような視点で作られているのですか?
まず、「リーダーよりガイドを」ということ。育児はあくまで子どもが主役ですよね。大人は子どもの先頭に立ってどんどん引っ張っていくのではなくて、主役である子どものガイド役でなければいけないと思っています。もちろん、ガイドの方がはるかに難しいんです。リーダーは、自分が知っていることだけをやらせて引っ張っていけばいい。でもガイドは、子どもが「あれやりたい」と言った時、そこにいくまでの道すじを最善の形で提案するのが仕事です。先だって進めるということは難しいけれど、幼児教育の時代には一番必要なことだと考えています。
…… ですから、「クーヨン」で取り上げている“あそび”の数々は、あくまで子どもへのプレゼンテーションだと考えていただければと思っています。その子に関わる大人たちは、その子が楽しんでいるかどうか、どう楽しんでくれているかを見ていてほしいですね。
それから、幼児期は特に、お母さん、保母さん、先生など、みんなでその子を見てあげて、その子のいろんなところを見つけてあげることがとても大事だと思っています。そういう意味では、ピアノレッスンの現場でも、「この子にはこんなところがあるんだ」「あんなところもあるんだ」ということを見つけながら音楽をやれば、音楽というのはもっと気持ちよくて楽しいものになると思うんです。ピアノを好きな子もいれば、タンバリン、カスタネットが好きな子もいる。何だっていいんだと思うんですよ。大切なのは、それをやる時にその子が喜んでいるかどうかなんです。「幼児期はこうですよ」と人から聞いてきたものをそのまま子どもに押し当てても、いろんな子がいますから、その通りにはいきません。だからおもしろいんです。とかく日本では技術のことが語られるけれど、技術が役に立たないわけじゃなくて、うんと役に立つんだけど、じゃあ技術があれば楽しいかというとそうではない。「ピアノってなんておもしろいんだろう」と子どもに提案できなくては、せっかく持っている技術は、失敗なんじゃないでしょうか。
だから、まず、その子が何を好きなのか ということを、指導の前提として知る義務があると思います。そこに自分の考えている方法を提案する。でも、Aの提案ではなかなかうまくいかない。じゃあBの提案、それでもだめだったらC、D……
とまた提案する。どうやったらその子に「へえこれおもしろいんだ」と思わせることができるか、それには先生も技術だけではないさまざまなことも勉強する必要があるように思います。例えば、絵本から音楽に入っていったり、ボールあそびが音楽につながっていったり、……
というように。
●子どものために、何ができるかをいっしょに考えよう。
―― 誌面では、「こんなときだから『原発』を話そう。」(12月号巻頭に掲載)など、社会的なテーマも多く取り上げられていますね。
子どものことを考える時、原発のことを考えないわけにはいかない。9月11日の、ニューヨークのあんな光景を見ておいて、「あれが日本の原発に落ちたら」と考えない方がおかしいです。チェルノブイリのあの原発事故では、当初30km四方の放射能汚染といわれていたものが、実際には100kmを超えて被害が出ていた。日本はこんな密集地帯にあって、もし同じことが起きたらどれほどの被害があるのか。そうなったら私たちはこの国に生きていけないわけです。
大人は、子どもにとって「環境」の一つではないでしょうか。つまり、どういう大人に出会うかということが子どもを大きく左右します。「こういうことにも気づいてください」といろんな人が言い合い、別のさまざまな人の考えがあって、子ども一人を育て合う。楽しいけれど、たやすいことではありません。子どもを愛すればこそ、いろんなことを知っておいた方がいい、子どもはいろんなもので生きるんだ、という提案を「クーヨン」ではしています。だから、音楽の先生にとっても音楽以外のページは決して無関係なものではなくて、子どものことを知りたいと思うなら読んでいただきたい! そういう視点で作っている雑誌は、ほかには絶対ない!
と自信を持って言えます。
「その子の存在」を、みんなで慈しむということが、今ほど必要な時代はないと思うんですよ。また、子どもにも健康な子ばかりではなくて、病院にいる子、家で寝ている子、足の悪い子、呼吸の苦しい子……
いろんな子がいるということも、みんなに知ってほしいと思います。
別に社会問題をやっているとは思っていなくて、あくまで「子どもの問題」をやっていると思います。やることがいっぱいあって、結構おもしろいですね。やればやるほど、「子どもって大変だな」と思います。いつも、子どものために何ができるかな、と考える。
ただ、それらのことを深刻に提案したくないとは思っています。楽しく提案したい。深刻に提案することは誰にでもできるけれど、それを楽しく提案するということが「クーヨン」の一番心がけていることでしょうか。
―― 読者からの投稿欄もとっても充実していますね。また、全国には読者会もあるそうですが?
はい、各地で自主的に開かれているようです。でも、「どこにあるのか」などの質問には編集部の方でもお答えしています。また、「クレヨンハウス」ホームページ(http://www.crayonhouse.co.jp/index.htm)にも「ご意見広場」「テーマ広場」といった、読者の方同士の交流を目的としたページもあります。さまざまな経験・意見を持つ人たちが、読者同士でつながっていってほしいと思っています。
●月刊「クーヨン」
育児(子どものこと)と育自(自分のこと)の
コミュニケーションマガジン。
子どもにとって、大人にとって、いま何が重要
なのかがよくわかる雑誌です。
「絵本」「あそび」「音楽」に加え、「子ども」にとって
いま重要な「環境問題」や、「あなた」にとって
こころ癒される情報満載です。
発行人 落合恵子
発行 クレヨンハウス
毎月3日発売
本体価格 933円
A4ワイド版
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