2001.8月 第29号
テクニックをつけるために
*おすすめ楽譜 指づくり編*
LPO編集室 編
さまざまなスタイルの曲をより豊かに、そして深く表現するためには避けて通れないのが「テクニック」。その内容はタッチ、ペダリング…… など多岐にわたりますが、今回は「指づくり」について特集したいと思います。
これまで「指づくりのための教本」というと、やはり「ハノン」「ツェルニー」が最も一般的でしたが、これらは生徒さんが苦手とする教材としても知られるところ。どうしても無味乾燥になりがちな指づくりのための練習を、ただの指運動ではなく、いかに音楽的に、感性豊かにさせてあげられるか……。数ある教材の中から、対象別におすすめ品をご紹介します。
☆導入・初歩者には……!
無理を強いることなく、楽しくテクニックをつけられるものをご紹介します。最近新刊も続々刊行されています。
《人気ベスト3》
●バーナム ピアノテクニック
ミニブック、導入書、@〜C、全調の練習、ミュージックデータ
(E・メイ・バーナム 著/中村菊子 訳・解説/全音)

楽器店でもダントツの売上を誇る本書。
ミュージック・データも是非お試しあれ!
本紙でも何度となくご紹介してきたベストセラー。1曲ごとに身体表現を表したタイトルとユニークな挿し絵がついているので、それぞれの奏法を具体的にイメージしながらテクニックをつけていくことができます。後半では、変拍子、トーン・クラスターなど現代音楽の奏法も。また「全調の練習」は5指のポジションで作曲され、初級者が全調を体得するテクニックのエチュードとして最適。
●ピアノランド たのしいテクニック
(樹原涼子 著/音友)
テクニックの諸要素がイラストでわかりやすく解説されているので、先生の手引書としてもオススメ。また、練習が味気ないものにならないようか第二伴奏が付いていたりと、音楽性を養いながら楽しくテクニックを習得できます。ミュージック・データあり。
●バスティン・ベーシックスシリーズ テクニック
プリマー・@〜C
(J・バスティン 著/東音企画)
バスティン先生にオリジナルの練習曲のほか、シュミット、ツェルニー、ハノン、レモインなどを収録。各ページはベーシックスシリーズの他の教材の内容と対応しています。全曲カラフルなイラスト、楽しいタイトルつき。
《ユニーク&おもしろテクニック本》
●5指のテクニック 1・2
(田村智子・岩瀬洋子 共著/全音)
指の独立を目指すだけでなく、初見力、集中力をつけるテキスト。両手5指を固定のポジションにおき、五線読みではなく音程読みで両手同じ指番号(もしくは音)を弾きます。レッスン前のウォーミングアップにオススメ。ミュージック・データ(ミュージックキー)あり。
●初歩者のためのピアノの絵本「おさるのお話し」
(M・ゴールドストン 著/安田裕子 訳・解説 全音)

楽譜を見ただけで、思わず
にっこりしてしまうような
ユーモラスさが◎。
●表現のためのピアノテクニック「ピアノ・スポーツ」1〜4
(C・ミラー 著/安田裕子 訳・解説 全音)
それぞれ、猿・スポーツの動きとピアノテクニックとを結び付けた教本。特に「おさるの〜」は、楽譜を見るだけで思わずニッコリしてしまうような、ユーモラスな練習曲となっています。
●毎日の練習12か月 1・2
(原田敦子 著/ヤマハ)

勢いにまかせて弾くのではなく、
一音一音ゆっくりと静かに弾くよう
指導して下さいね。
指の訓練だけでなく、ピアノを色彩豊かに響かせる為の指のコントロール能力を高める教材。小学校低学年から使えますが、大人のタッチの再勉強にもオススメ。その他「音階の練習12か月」「ピアノテクニック12か月」などがあります。
《バイエル終了程度の生徒さんに》
●いろいろな演奏技法を学ぶための ピアノ・エチュード集
1・2
(R・S・ギンジン・M・N・カラフィンカ 共編/寺西昭子
校訂・監修/全音)
世界的ピアニストを多数輩出しているロシアの著名な音楽学校で使われてきたピアノ練習曲集の名著。ロシアの他、ヨーロッパの著名な大作曲家のエチュードを多数収録。
●ピアノのメトード A・B
(カワイ音楽企画 編著/カワイ)
ツェルニーから中田喜直まで、古今の芸術曲が機能別に編纂されています。
☆目標別に選ぶ!
このレベルに達している生徒さんは、やはり音大受験やコンクールなど、専門家としての道を目指す方々でしょうか。ただ、これらの練習が「練習のための練習」にならないよう、事あるごとに「何のための練習なのか」を生徒と確認し、目的をはっきりさせておくことが大切。
《スケールの奏法をマスターする》
●クレメンティー 前奏曲と音階練習曲集
(中村菊子 校訂・解説/全音)
スケールの練習で大切なのは、どの調性の曲を弾いても自動的に正しい指づかいを使えるようにすること。
この教本は、全調性の音階を基にして書かれた練習曲とそれにつけられた前奏曲からなっており、4〜18小節の短い前奏曲は練習曲への序奏と準備を兼ねています。
●マリア・ティーポによるテクニカル・エチュード
「ハーモニック・スケール」
(三浦寿之 編著/全音)

弾きこなすことだけに躍起になる
のではなく、ハーモニーの響きを
味わながら……!
音階練習を指の独立の訓練と同時にハーモニーの意識を持って練習します。音階であってもハーモニーを感じながら演奏する習慣を身につけることで、豊かな色彩感を含んだ音を目指します。
初心者から上級者まで。
●リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集
(60の指練習への導入)
(坂井玲子 校訂・解説/全音)
●ピッシュナ 指の訓練のための練習課題
(伊達 純 校訂・運指/音友)
トリル、スケール、アルペジオなど、近代ピアノ奏法に必要な指の訓練の諸要素をマスターするために。「ハノン」の課題が全音階的で移調練習が必要なのに対し本書は半音階的進行が多く、黒鍵への苦手意識がありません。「リトル〜」を経てから本編に。
《左手を重点的に!》
●ツェルニー 左手のための24の練習曲
(伊達 純 解説・校訂/全音)
●ベレンス 左手のトレーニング
(市田儀一郎 解説・校訂/全音)
ここまでくると、まさに「トレーニング」ですね。ツェルニーが初級、ベレンスが中級以降。ツェルニーの方は両手弾きなので、まだ「曲」として楽しめる部分もあるかな? 一方、ベレンスは左手のみのエチュード。くうぅ、ツラそう……。
☆大人の方には…!
●おとなのためのテクニック・マスター@〜B
(橋本晃一・渡辺明子 共編著/ドレミ)
「おとなのためのピアノ教本@〜D」で学ぶ演奏テクニックを、さらに確実にする為の練習曲集。ゆるやかに導入し、古典の曲を弾くためのテクニックが身につきます。
●おとなのハノン
(大岩佳子 編著/ドレミ)

大人の方は教材にもこだわりを
持っていらっしゃいますよね。
「何がなんでもハノン!」という方に。
大人の指の機能を配慮した、大人のための指トレーニング・ブック。導入部に多くのページを割き、音符も大きめとなっています。
―― 以上、ご紹介してまいりましたが、今回紙面の都合上紹介しきれなかった教本もたくさんあり、悔しいところです。そのお詫びに、いつか当HP「LPO
CLUB」にて、特集として取り上げられたらと思っておりますので、どうぞお楽しみに。
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