2004.1月 第58号


ヤマハミュージックメディア


『ロマン派ピアノ名曲マスターシリーズ』発刊に寄せて

もう一度ピアノを
弾きたくなったら、今度は……

江口 文子


(「エチュード編1・長調」「エチュード編2・短調」
「レパートリー編」の3冊で構成、各1300円+税)

●発刊への思い

  「ロマン派ピアノ名曲マスターシリーズ」
は、昔、ピアノを習っていたけれど、さまざまな事情でピアノから離れてしまった、でも今、本当に久しぶりにピアノが弾きたくなった、という方々のために作りました。
私もそういう方々とはたぶん(?)同世代です。当時のピアノレッスン事情を思い浮かべると、 指をつくろう  手をつくろう といった訓練の時期が長く、もしかするとその大切な下積みがやがて実る日が来る、その途上で終わってしまった、ということも多かったのではないでしょうか?
つまり、昔、ピアノを習っていた方の多くは、心に表現したい音楽を持ちながら、真に大人の心を癒してくれるロマン派の名曲の数々―― ショパン、シューマン、グリーグ、チャイコフスキー等の作品にあまり親しむことなく終わってしまった もったいない 経歴の持ち主かもしれません。
この本は、そんな方々に「今度はロマン派からはじめてみませんか?」というご提案をさせていただいています。

●テキストの特長

このテキストは、「エチュード編1・長調」「エチュード編2・短調」「レパートリー編」の三巻で構成されています。「エチュード編 長調」では、「ひさしぶりにピアノを弾くので……」ということで、読んでも楽しい、弾いても楽しい内容で、もう一度ピアノを弾く頭と体を作るところから出発します。
そして、慣れてきたら、いろいろな調でのエクササイズに入るのですが、ここでは大人の手の形に無理なく収まるイ長調から始めるなど、 大人の体にやさしい メソッドになっています。また、「基礎練習は最低限に!」の精神のもと 名曲に多く使われている調 を中心に扱い、エクササイズも「もしかしたら、これは、あの曲の予備練習?」とすぐわかるような「近道を行く!(笑)」ものを、作曲家の岩間稔先生のご協力をいただいて制作しました。

●気張らずに、でも永く続けていくため
  の確かな歩みを

三巻の流れは、一応、エチュード編を 長調、 短調と進んで、レパートリー編へと進むのですが、そこはそこ、「大人の自由」で、真っ先にレパートリーに取り組んで、ちょっと困ったら「何かいいこと書いてあるかも?」といった感じでエチュード編をつまみぐいしても、全然かまいません。
ただ、これは私の「小さな提案」なのですが、ピアノのテクニックの考え方も当時と今とでは随分と変化しています。特に、 ロマン派を弾くテクニック に関して、エチュード編のエクササイズに示した運指が「あれ? これは自分が習ったものと少し違う。」とお思いになるところがあるかと思います。エチュード編では、ピアニストが用いている運指で、「これは大人の手にやさしい」というものは、積極的に取り入れていますので、「楽に弾けるかもしれないから、習ったことと違うけどちょっとやってみようか。」と思ってチャレンジしていただけると嬉しいです。

◎今年一月より、東京・スガナミ楽器町田店様(1/26開催)を皮切りに、江口先生による公開講座『ピアノをもっと楽しく弾きましょう! 〜マスターシリーズで学ぶロマン派のテクニックと音楽表現〜』が開講されます。今後の予定につきましては、当HP『“LPO”CLUB』にてご確認下さいませ。



●プロフィール

  11歳よりピアノを永井進氏に師事。桐朋学園高校音楽科を経て、桐朋学園大学ピアノ科に進学。伊達純氏に師事。2年在学時に渡欧。パリを中心に各地でリサイタル、室内楽、オーケストラ共演、伴奏等音楽活動を行う。
  その後、ヤマハ音楽教育システム講師として多くの作曲家、演奏家を育て、1988年ヤマハマスタークラス創設以来、主席講師として後進の指導に力を注ぎ、国際的に活躍する数多くのピアニストを輩出する。
  また、ピアノ教育において、その活動は多岐にわたり、公開講座や公開レッスン、練習曲集の編纂、大人のレッスン等、幅広い音楽普及啓蒙活動を行っている。
  現在、財団法人ヤマハ音楽振興会ヤマハマスタークラス主席講師及び社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)理事。



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