2003.9月 第54号


ドレミ楽譜出版社


おとなのエチュード
〜美しい音でテクニックが身につく練習曲集〜


大岩佳子



◆ピアノ教師が抱える悩み

 公開講座、セミナー等でいろいろな地域に伺った際、そこでレスナーとしてご活躍中の先生方とお話をしたりお手紙をいただいたりすることがあります。また、レスナー仲間のネットワークからも随時たくさんの情報が入ってきます。そのような中から、現在の「大人のピアノレッスン事情」というものが見えてきます。
大人を教える上での数々の問題点、難しさ。どの先生もみんな頭を悩ませています。中でも多い悩みのひとつに「生徒が自分の力以上の曲を弾きたがる」というのがあります。指練習やエチュードは嫌がり、自分の好きな曲ばかり弾いているわけです。趣味でピアノを楽しむ大人達にはエチュードはいらないのでしょうか?演奏テクニックは学ばなくてもよいのでしょうか?

◆「大人のための練習曲集」はこれまでになかった
 
  確かに好きな曲だけ弾いていれば楽しいに違いありません。しかしピアノを始めて2〜3年もすれば、大人達はいろいろな点に気づき始めるのです。「どうして指が自由に動かないのだろう」「譜面通りに弾いているつもりなのに、なぜステキな演奏にならないのかしら」音楽を愛する人であればあるほど、より良い演奏がしたくなるのは当然のこと。その思いは子ども達よりはるかに強いのです。しかし「良い演奏」はバランスの良い練習からしか得られないもの。好きな曲だけ弾いていてはバランスのとれた力は身につきません。大人にもエチュードは必要なはずなのです。ところが、大人のために書かれたメソッドや曲集は数多くあるのですが、エチュードはほとんどなかったのです。

◆ 大人が弾きたがる曲とは?

 その理由はエチュードの性質にあります。エチュードといえば難しい、つまらない、曲数が多い―― 等の悪いイメージがあるからです。子どもや学生が使っているものは多くの点で大人には不向きといえますし、やはり、大人には大人用のエチュードを、と考えました。さて、データに見る、大人に人気の曲といえば、「エリーゼのために」「ショパンのノクターン」「渚のアデリーヌ」と美しくロマンチックなものばかり。では美しい曲を集めればきっと喜んで練習して下さるはず。また、一人の作曲家のものだけでは偏りがあるので、ロマン派を中心にいろいろな時代から16名の作曲家の作品を集めました。大人の好みにあった選曲であるということが本書の最も重要なコンセプトです。

◆「おとなのエチュード」の特長

 このエチュードはピアノを始めて導入部分が終了し、読譜がスムーズになってきた方が、ピアンを弾くのに必要なテクニックを身につけるためのプログラミングがしてあります。
大人のための工夫として――

○「その曲で何を学ぶのか?」がわかるように一曲一曲
  にテクニックのタイトルがついている。
○練習のサポートとなるように「コツ」と「ポイント」がつい
  ている。
○レベルがA〜Eに分けてあるので、到達度がわかりや
  すい。
○大人の視力を考えた読みやすい楽譜。


 このほかにも使いやすい工夫がたくさんあります。
「おとなのハノン」と併用して、これに好きな一曲を加えた3本柱で練習を積めば、きっとバランスのとれた力が身につくでしょう。
  本書が先生方の悩みの解消に少しでもお役に立つことを願っています。

●プロフィール

名古屋音楽短期大学作曲科卒業。ピアノを相原和子、水谷栄子、作曲を小桜秀爾、有賀正助の各氏に師事。採譜、アレンジ、デモンストレーション演奏やブライダルプレーヤーを経て、NHK、CBCのテレビ、ラジオの番組にスタジオ・プレーヤーとしてレギュラー出演。現在は名古屋市生涯学習センター講師の他、「大人のためのピアノ教室ヴィバーチェ」を主宰。多くの生徒の指導にあたるかたわら、セミナー講師として全国各地で講演活動中。

●著書

「おとなのエチュード」「おとなのハノン」「シニア・ピアノ教本 1〜3(橋本晃一氏と共著)」(以上ドレミ楽譜出版社)



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