2003.4月 第49号
ドレミ楽譜出版社
いちばんさいしょの ピアノえほん
これ なんのおと?
遠藤幸三
★子どもの歌が1分30秒で終わる理由
Jポップと呼ばれている歌の大半は、短いもので3分、長いものでは6分を超えるものもありますが、一般的には5分前後で作られているものです。
一方、幼稚園児なども聴くことを想定して作られているNHKの「みんなのうた」は、基本的には1曲が2分20秒くらい。
さて、それでは2歳から3歳くらいの幼児を対象に作られている歌の長さはというと…… これが平均すると約1分30秒。Jポップの1番が歌い終わらないうちに歌の全部が終わってしまうような長さということですね。
では、なぜ幼児の歌はこんなに短いのでしょう。その答えは簡単。それくらいが彼らがひとつのことに気持ちよく集中できるであろう長さだからなのです。
ですから、歌の作り手も、歌を作る時は、その歌を聴く側の都合に合わせて、サイズなども考えて作っていく。これはプロのソング・ライターであれば当たり前のことなのです。
★“音楽のことしか書いてない音楽の本”って、
幼児にとっては不思議な本?
さて、音楽とは「受け取る側の都合に合わせて作られていくべきものでもある」という私たちソングライターの日常的視点から幼児用のピアノ教材を見た時、とても不思議に思えることが、ひとつだけありました。
それは、ほとんどのピアノ教本には、音楽のことしか書かれていないということです。
音楽の本だから、音楽のことだけで十分でしょ…… と考えるのは、音楽を音楽としてとらえている大人の発想です。
幼児にとっての音楽とは、テレビを見ながら、あるいは友だちと公園を走り回りながらも、いつもいっしょにいるもの…… つまり遊びや楽しいいたずらたちとワンパックになっている“仲間”、それこそが音楽であったはずなのです。
★「これ なんのおと?」は、
音楽も遊びもみんなが仲間
それならば、幼児の音楽感にフィットした、音楽も遊びもいっしょに出てくるピアノ絵本を作ってしまおうよ…… と考えて出来上がったのが
「いちばんさいしょのピアノえほん これ なんのおと?」。
ここには幼児が音楽に退屈することのないよう、さまざまな仕掛けがギッシリ。例えば…… 表紙の絵からして5つのまちがい探しが……。「かっこう」のレッスンページでは、沢山のかっこうに隠れて1個のハトサブレが……。これ以上は今はナイショ。あとは皆さんで実際に本を手にとって楽しんでみてくださいね。
この他にも「いちばんさいしょのピアノえほん これ なんのおと?」には、楽しい工夫がいっぱいつまっています。例えば……
(1)「もういいかい」「まだだよ」など、幼児が日常耳にして
いる生活音からはじまるため、どんな子にも無理なく
入っていけるピアノ・レッスンになるはずです。
(2)「音楽絵本」でありながら、どのページもなぞなぞなど
のゲーム感覚でいっぱい。退屈なんてさせませんよ。
(3)ページを追うごとに「ド」から「シ」まで順番に登場。ペ
ージごとのストーリーも楽しめます。
さあ、音楽は楽しいもの。みんなが大好きな遊びの仲間だよ、と子どもたちに言ってあげましょう。こんな素敵な世界、途中で投げ出すようなことだけはさせたくありませんものね。
●プロフィール
作詞家。NHKテレビ「おかあさんといっしょ」では「しまうまグルグル」「ぞうさんのぼうし」「虹の色とお星さま」など数多くの作品を提供。体操の歌「ぞうさんのあくび」で、1990年度・年間最多テレビオンエア賞受賞。他にもNHKテレビ「みんなのうた」「母と子のテレビ絵本」や子どものためのミュージカル作りなど、多方面に作品を提供。現在、音楽専門学校で作詞講師を務める。
著書に「いちばんさいしょのピアノえほん これ なんのおと?」(ドレミ楽譜出版社)「ロック作詞講座」(シンコーミュージック)など。
|