2003.1月 第46号
ドレミ楽譜出版社
CD付
聴いて弾いて癒される
音の宝石箱
〜宮沢賢治「星めぐりの歌」〜
呉竹英一
●宮沢賢治と音楽療法
まるで降りそそぐ夜空の星のように、楽器の名前や音楽用語を作品の多くに散りばめた宮沢賢治。彼はたいそう音楽を愛好していました。賢治は「狸やみみずくや野ねずみなど森の動物たちが病気になると、ゴーシュが演奏する音楽を聴いて療(いや)す」と「セロ弾きのゴーシュ」に書いています。
ピアノやチェロがうまくて、仲間と弦楽四重奏をも楽しんでいた賢治は、きっと音楽が心や体を癒すということを、実感として知っていたに違いありません。だからでしょうか? そんな賢治が作った曲は、シンプルで、暖かく、優しいメロディーなので、「心の癒し」にはぴったりなのです。もちろん「音楽療法」にも。
●姉妹版《弾いても聴いても癒されるピアノ曲集》の出版
音楽はアルファ波の湧出を増大させ、副交感神経を優位にし、体調を良くします。もうすぐ100回目を迎える「健康音楽コンサート」(滋賀県安土町で毎月一回開催)では、アンケートにより、健康を維持し、痴呆を防止し、妊娠中や出産時に好影響を与え、心身の障害を改善することがわかりました。また会場ではアルファ波・血圧・脈拍・筋電図などを測定して、音楽が心や身体に良い効果のあることが生体反応の測定からも実証されました。このデータをもとに昨年出版したのが「ピアニストの休日 〜弾いて癒されるピアノ曲集〜」(ドレミ楽譜出版社 刊)です。
●「楽譜もCDもほしい」との要望にこたえて
「ピアニストの休日」はピアノの曲集ですので、音楽療法士さんや、BGMに使いたいという施設や病院から「CDがほしい」という要望が相次ぎました。また、多くの人に賢治の曲のデモテープを聴いてもらったところ「楽譜はないか?」「CDはないか?」と質問されました。それでは楽譜付きのCDを作ろうということになり、要
望の多い宮沢賢治の曲も採用することにしました。すぐにピアノ用にアレンジして、宮沢賢治記念館に持参して聴いていただいたところ、出版OKとのご返事を戴きました。
●CDブック『音の宝石箱 〜宮沢賢治「星めぐりの歌」〜』
こうして「音の宝石箱 〜宮沢賢治「星めぐりの歌」〜」(ドレミ楽譜出版社
刊/1800円)ができました。ピアノ曲集は掲載曲数に制限がありませんが、CDは収録時間の制約があります。「音の宝石箱」では、録音時間を計算しながら、新しくアレンジした賢治の曲の中から、アルファ波が多く湧出された3曲「星めぐりの歌」「牧歌」「月夜のでんしんばしら」、そして、音楽療法のための創作曲「深海」「森の中」など、これまでのCDに収録されていない曲を中心に収録しました。また、ピアノ演奏は、日本音楽療法学会評議員でピアノの演奏活動もされている医学博士・板東
浩氏ほか、音楽療法の関係者にお願いしました。
●このCDと楽譜の使用について
音楽が人々の心や身体を癒すといわれながら、音楽家はあまり自分を癒すことをしていません。そんな方にこそ、仕事や家事や運転をしながら、このCDを聴いてほしいと思います。
シドニー五輪で金メダルを取った高橋尚子選手、田村亮子選手も、試合直前にCDを聴いていました。音楽を聴いてアルファ波が優位になると、精神統一ができ実力が発揮しやすいからです。同じ意味で、音楽教室のレッスン待ちの生徒さんに聴いてもらうと、これまでになかったステキなレッスンができるはずです。
いろいろな場面でご利用下さるとウレシイです。
●プロフィール
日本音楽療法学会評議員。認定音楽療法士。音楽博士。
カナダ音楽療法協会名誉会員。滋賀県音楽療法研究学会理事長。淡海音楽療法ボランティア会代表。
大垣女子短期大学教授を経て、現在は聖泉大学で「音楽療法」「心理療法」の講座を担当。
音楽療法関係では、「地域保健福祉助成」や「高齢者福祉助成」など、教育関係では「文部大臣賞(2回)」などを授賞。
ギタリスト、ヴォーカリストとしても活躍中。
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