2002.12月 第45号
あおぞら音楽社
生徒さんにも伝えたい
将来のしごとの選択肢としての音楽療法
イキイキ
音楽療法のしごと場
音楽を活かそう!レシピ集
北島京子
●長期的なトレンドとして
最近、中学・高校生のピアノの生徒さんから「音楽療法について知りたい」とか、「音楽療法を学ぶにはどこへ行けばいいの」といった相談を受ける先生がとても増えています。
また、ピアノの先生の5人に1人は、レッスン以外に、高齢者の施設や養護施設、デイケア、保健センターなどで、音楽活動を実践したことがある、という地域もあります。
そして、音楽療法の学術団体で、音楽療法士の資格を認定している「日本音楽療法学会」の会員5800人のうち約7割が、音楽教室の指導者やピアノの先生で占められていると聞きます。
このように、音楽を専門に学んだり教えたりする人々のあいだで、音楽と「健康」、音楽と「生活の質の向上」への積極的な関心が高まっています。これは今、世の中全体が「医療」「福祉」「保健」「教育」を大事にしていこうという流れに沿ったものであり、今後もこの傾向は長く続くでしょう。
こうした変化の中で、ピアノの先生とその生徒さんたちに、社会の中でこんなふうに音楽を生かすことができるという音楽療法の具体例を知っていただきたく、このほど「イキイキ音楽療法のしごと場」(あおぞら音楽社 刊)というムックを編集刊行しました。
●現場で使えるヒント集
実際の音楽療法のしごと場で、実践者たちがどんなふうに音楽を使ったり、創意工夫を試みているかを、図や楽譜を使って紹介しています。(パート1「みんなに喜ばれるセッション事例」)。
また、現場で必要とされる「即興演奏ってどうやるの?」の特集を充実させました。メソードがあるわけではなく、ごく身近なところから即興を生み出す秘密を公開し、数々の実例をお伝えしています。日用品を楽器に変身させるアイデアや、既成の楽器の新しい奏法も含め、こうした内容は、どこの教科書にも書かれていませんからお見のがしなく。歌のピアノ伴奏でのコツや、初めての人でもできるハンドドラムの演奏、車椅子の人ともできるリズム体操なども実用的です。(実践スコア付きスペシャル講座)
●現場で出会うさまざまな問題に対応
現場に出てまもない初心者が出会う「悩みや迷いの克服法」や、ことば以外の表情や声色、動作などからホンネを読み取る「非言語コミュニケーションの技術」も掲載。さらに、現場では「上手なチーム・アプローチ」が必要です。一緒にはたらく作業療法士や臨床心理士、言語聴覚士たちときちんとコミュニケーションを取るための基礎知識も取り上げました。(以上、パート2「音楽療法のしごと場 こうして活性化」)。
●ピアノレッスンと音楽療法の接点
音楽療法は、ただ「音楽」という「薬」を与えて、経過や結果をみるものではありません。療法を行う人とその対象者とのあいだで、音楽を通じて何かを感じ、表現する。この感性の裏付けをもったコミュニケーションが展開されていることが、いちばん大切です。そしてここに「あそび」が存在します。「あそび」の中には人間の心の健康な営みが表されています。療法という響きに隠れがちですが、音楽療法は「あそび」を核に含むものなのです。
心身の変化と表現とあそびを一つの輪の中でとらえる。音楽療法が、音楽教育やピアノレッスンと同じ延長線上にあることを、本誌で感じ取っていただければ幸いです。
◆『イキイキ音楽療法のしごと場』第1号は160ページ、
定価(本体1600円+税)、好評発売中。
第2号は来年3月上旬の発行予定です。
●北島京子 プロフィール
企画編集者。1983年ピアノの月刊誌『ショパン』を創刊。鞄結梔ケ楽社[現潟Vョパン]を退社後フリー。企画編集したムックに『年齢別ピアノ学習法』『ピアノレッスンに活用できる電子鍵盤楽器ガイド』『これからのピアノ教室経営法(全3巻)』『チャレンジ!音楽療法士』『同
2002』(音友)『ピアノ教室パワ〜アップ大作戦』(ヤマハ)など多数。
音楽出版汲おぞら音楽社代表取締役。「こんな本や楽譜を出版してほしい」というピアノの先生方、ご相談に乗りますよ。
TEL:03-5606-0185 / E-mail:kita-pro@msf.biglobe.ne.jp
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