2002.10月 第43号
音楽之友社
ぴあのとあそぼう・ぐう
柴田礼子
●ピアノと“あそぶ”ということ
ピアノは子どもたちが最初に出会う、大きな遊べる楽器です。子どもたちがもっともっとピアノと遊び、ピアノを探検し、ピアノの音に興味を持ってくれたらと願って、この「ぴあのとあそぼう・ぐう」(音楽之友社 刊)を作りました。どんな子どもでも、ピアノと“あそぶ”ことから始めたら、ピアノを好きになることは間違いありません。
●自分たちの手で完成させる教材
実は、この本はまだ完成していません。「ぴあのをたんけんしよう」「まねっこしよう」など、たくさんの遊びを通して、自分たちの手で完成させていってほしいのです。子どもの本だからカラーにするのではなく、子どもの本だからこそ、自分でぬりえや書き込みができるようにしたり、ピアノのパズルやカードなど、切り貼りができるページがあったり、お話を作るコーナーや宿題を作りました。もちろん、即興や作曲への導入もたくさんあります。そういったピアノへの様々なアプローチがあり、それを支えてくれる大人がいたら、子どもたちはどんどん自分の力でピアノや音楽に対して様々な発見をし、自分の力で考え、イメージしながら、自分の音を探して弾くことができるようになります。
●「即興」を通じて自分の思いを伝える
この本は、絵本を読むように、3・4才の子どもたちから使うこともできますし、ある程度レッスン歴のある子どもたちが副教材として「ぐう」から始めて、「ちょき」「ぱあ」と少しずつ即興や作曲等のレベルアップを図ることもできます。
また、障害を持っている子どもたちとも遊ぶことができます。できる遊びは障害によって様々ですが、一本指で即興をしたり、黒鍵だけの即興や、ピアノしりとりなど、子どもが興味を持ってくれるポイントを見つけていくと、発展の方向性が見えてきます。
でも、いずれの場合も課題をこなすためにピアノを弾くのではなく、ピアノと遊び、即興をすることで、子どもたちひとりひとりが自分の音を探し出し、自分の思いを伝えるためにピアノを弾く楽しさを感じてくれたら嬉しいです。たくさんの試行錯誤を通して様々な即興をしていくと、「音楽は自らが作り出すもの」という、基本ではあるけれど、とても重要なことが、子どもたちにもちゃんと伝わっていくのではないかと思います。
●「教える」「教わる」ではない関係
巻末には、大まかなレッスンスケジュールや解説、個々の子どもに合ったテーマの探し方チャート、関連教材の紹介などを入れていますが、先生はそれにこだわることなく、子どもたちとどんどん楽しんで下さい。「弾ける」「弾けない」ではなく、一緒に遊びたい、楽しみたいという思いがあれば十分です。本や子どもたちのアイディアに触発されて、先生もきっと楽しい時間が過ごせるはずです。
私たちは、常に「教える」「教わる」の関係ではなく、一緒に音を楽しみ、共有していく関係を作ってもいいと思うのです。子どもとそうやって一緒に遊んでいくことで、先生方もご自分の好きな教え方、楽チンな方法を見つけていくことができるような気がします。私がそうであったように……。ぜひ、子どもたちと一緒にオリジナルのすてきな「ぴあのとあそぼう」を作って下さい。
◆「ぴあのとあそぼう」シリーズは、教材(「ぐう」「ちょき」「ぱあ」の全3巻、各800円)、指導用解説書(全1巻、1800円)で構成。今後は「ちょき」が10月、「ぱあ」が11月に刊行されます。また、今秋より教材セミナーも全国各地で開催予定。
●柴田礼子 プロフィール
1960年埼玉生まれ。東邦音楽大学ピアノ科卒業後、オーストリア国立音楽芸術大学モーツァルテウム「カール・オルフ研究所」で「音楽と動きの教育」を学ぶ。87年ザルツブルク市民大学子どもクラスの講師を務める。現在、さいたま市で「音楽と動きの教室シュピールハウス」を主宰し、一人一人の表現を引き出す楽教育を展開。また、障害児との音楽活動や指導者養成に取り組む。日本オルフ音楽教育研究会運営委員。国際オルフシュールベルク奨励促進協会会員。
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