2002.2月 第35号

リットーミュージック


「作曲家と出会う」シリーズ

ピアノのための名曲コレクション


リットーミュージック編集部


 “作曲家と出会う”シリーズ (リットーミュージック)は、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、チャイコフスキーといった、クラシックの巨匠たちのさまざまなジャンルの音楽をピアノ用にやさしくアレンジし、その作曲家自身の伝記・図版とともに収録した新しいタイプの曲集です。独・ショット社から出版されたこのシリーズを、この度日本語版として出版いたしました。

 そもそも私どもの楽譜出版において、クラシックや教育の分野で力のあるシリーズを発行することは非常に重要だと考えておりまして、日頃よりその分野に強い海外の提携出版社を探していました。昨年のフランクフルト・ムジーク・メッセ(国際的な楽譜の見本市)にもそのような目的で訪問し、さまざまな出展ブースを回りましたが、なかなかぴったりくる出版物が見つからずにいました。

 そのメッセ期間中、ある出版社との会食の席で偶然お会いしたのが、今回の“作曲家と出会う”シリーズの著者であるハンス=ギュンター・ホイマン氏でした。氏はすぐれたアレンジャーとしてヨーロッパでは大変な人気のある方ですが、日本にも興味をお持ちで、ご自身の出版物が日本で紹介されることを強く希望されていました。そこで「クラシックのアレンジもされていますか?」と尋ねたところ、「現在ショット社と一緒に、今までにないクラシックの楽譜のシリーズを出しているところです」とのお返事をいただき、早速拝見させていただくことになったのです。

 拝見したところ、日頃からクラシック楽譜というのは表紙・装丁とも少し地味ではないかと思っていたので、まずそのオール・カラーの装丁が気に入りました。また、ピアノを弾く方は、バッハ、ベートーヴェンという偉大な作曲家の作品は知っていても、その生涯や時代背景を知っている方は少ないのでは、とも思っていたので、作曲家に親しんでもらうためのページが多く割かれているのも新しい試みだと感じました。

 それから、最も重要な曲のアレンジに関しては、ハンス氏の楽譜とともに、海外で出版されているさまざまなアレンジ曲集を数多く持ち帰り、スタッフに弾き比べてもらいました。すると、いずれの曲も原曲の雰囲気を損なわず、非常に良い音の選び方をしているハンス氏のアレンジが好評を得ましたので、出版にあいなったという次第です。

 日本語版の刊行にあたっては、本書の“売り”である巻頭ページ(作曲家の生涯や時代背景)の翻訳が原書の雰囲気を壊さないものであること、そして譜面上に記載されている演奏指示の翻訳が、すべて同ページの下段に記入されていることに配慮しました。ページ内の下段に翻訳を置くことで、分からない言葉が出てきても、演奏しながらにしてその曲の解釈が自分なりにできるということは、練習の上でも大きな進歩に繋がることでしょう。

 そして演奏指示に関しては、「アレンジ曲集ではあるけれど、できる限り原曲の忠実な再現を心がけたい」というハンス氏の意向により、作曲家本人によるものだけを記載しています。これは、従来のクラシックのアレンジ曲集にはあまりみられない、特徴的なことだといえるでしょう。

 また、選曲もピアノ作品に限らず、ピアノ以外の器楽曲、交響曲、オペラ、歌曲、バレエ音楽など幅広いジャンルから収録されており、そこに施されたハンス氏ならではの斬新なアレンジは、クラシック音楽を愛する大人の方にもきっと満足していただけるものと思います。

 今までクラシックは難しいと思っていた皆さんが、このシリーズに出会ったことで、クラシックに少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

◆「作曲家と出会う」シリーズ 全5巻 各1200円
                     
好評発売中!



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