2001.12月 第33号
音楽之友社
ふよみとテクニックをたのしく
アキ ピアノ教本
呉 暁
♪ゆっくり、楽しみながら進める教本
子どもたちが新しい曲を見て「弾けそう!」と感じるようなら、ピアノを習うことが楽しくなります。
5〜6歳の子どもたちは5線上の譜読みが苦手ですから、はじめから譜読みの範囲を広げないでゆっくり進むピアノ教本を使うと良いのです。
そのために、「アキピアノ教本 1」は、音域を「うたとピアノの絵本」とほとんど同じにしてあります。
生徒が自分で譜を読んで弾けるように…… という指導は根気のいる仕事ですが、「本当にピアノが好きになって、確実に進歩していく」ためには、無理をしないでゆっくり進めることが大切なのです。
また、「うたとピアノの絵本」が終わって両手で一緒に弾くことを始めると、この年齢の子どもたちはなんて不器用なのかと言いたくなるほど、右手と左手が異なるリズムの組み合わせを弾くのに苦労します。
そこで、「アキピアノ教本」でははじめは左手は「ソ」だけにして、そのうちに「ド・シ・ラ・ソ」を弾いたりして、少しずつ進めることにしました。
また、3度や音階など、テクニックの練習を「これ、弾けるかな」という遊びのように入れてあります。それらを楽しみながら弾いていくうちに、いつの間にか指の動きを習得していきます。
指使いも、徐々に右手の1〜5の指で「レ・ミ・ファ・ソ・ラ」を弾く練習をしたり、「ド・レ・ミ・ファ」を「1・2・3・1」で弾くなど、応用力を養っていきます。
♪「歌ってから弾く」ことが大事
ピアノの上達に大切な要素として、「歌ってから弾く」ということがあります。声を出して歌うことで音が分かるようになるので、耳を育てるためにも、「うたとピアノの絵本」でやってきたのと同じ方法で、「アキピアノ教本」の曲も、歌詞とドレミで歌ってから弾くと良いのです。
歌詞には「ポチとタマと、けんかになった。ワンワン、ニャーニャー、うるさいさわぎ」という面白いものがたくさんありますが、「たん、うん、たん、……
とんでる」(ともに@巻に収録)と歌いながら弾いてリズムの練習をするものもあります。
♪全巻修了すると「ミクロコスモス」や
バッハの小曲へ
第1巻はやさしい段階の基礎をていねいに準備しますが、第2巻になると徐々にハ長調以外の調が増えていって、重恩や分散和音の練習をして基本的な伴奏の形を習得していきます。第3巻では、カノンや模倣を弾けるようになるので、これを終えるとバルトークの「ミクロコスモス」、バッハの小曲、こども向けの曲集に進むことができます。
この教本のえんぴつがきの原稿には、それぞれの曲を弾いてくれた生徒のマークが残っています。その中で一番年長の生徒は今年大学に入りましたから、この本を作るのに13年かかったことになります。
長い間お待たせしましたが、ようやく「うたとピアノの絵本」の続きの本を作ることができて、私としても本当にうれしいです。
表紙とカットの絵は、私の大好きな絵本番ねずみのやかちゃん≠フ絵を描いた大社玲子さんがひきうけてくださいました。のびのびした、とても素敵な絵なので、子どもたちと一緒に先生も楽しむことができると思います。
先生方の指導のお役に立てれば…… と願っています。
●プロフィール
武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。同専攻科修了。米国インディアナ州ポール大学留学。ピアノを横井美知子、エドワード・ハウスマン、ソルフェージュをアネット・デュドネの各氏に師事。現在自宅にて幅広い生徒に趣味のピアノを教える傍ら、セミナーにも意欲的に取り組んでいる。
●著 書
「うたとピアノの絵本@AB」
「4才のリズムとソルフェージュ」
「5才のリズムとソルフェージュ」
「リズムとソルフェージュ@AB」
(いずれも音楽之友社)他多数。 |