2001.10月 第31号

ヤマハミュージックメディア

ひとりひとりの心の詩を美しい響きで表現する力をつける
原田敦子
ピアノ基礎テクニックシリーズ

原田敦子

   ヤマハミュージックメディアから出版されている7冊の
「原田敦子ピアノ基礎テクニックシリーズ」のテキストは、いずれも指導現場の要求と実践から生まれました。そして現在、たくさんの先生方にそれぞれのレッスンの現場で利用され、大きな成果を上げていらっしゃいます。また、先生方ご自身の研鑽にも役立てていただいています。
  なぜこのように皆様にご好評をいただけたのか? との問いには、それぞれのテキストが「脳」と「集中力」をしっかり意識して、静かに自己を取り戻しつつ練習に取り組んでいただくよう提案しているから、と明確に答えられます。このごろの日常生活があまりに喧噪で、「人」が穏やかで深い「自分」にもどり、自己の表現性を引き出すためには、このような配慮が大切だと考えます。
  このシリーズを使っての総合目標は、「ひとりひとりの心の詩」を「ピアノで歌う」「美しい響き」で表現する力を、最短距離でゲットしようというものです。
 「こどものおんかいれんしゅう」「ピアノファーストレッスン1・2」は、子どもたちが「心の詩」を豊かに育み、純粋で勇敢な想像力を生涯持ち続けていただきたい願いを込めるとともに、音楽家たる基礎能力の最大の武器である集中力を、無理なく培って行くことができるよう作られたテキストです。集中力、注意力、創造力の育成のため指導法に特色を持たせています。
 「ピアノテクニック12か月」「音階の練習12か月」は、洗練された、すてきな演奏に完成させるために必要な技術を、練習曲を数々こなすという回り道をしないで身につけようとするものです。モーツァルトに必須の音階を、ベートーベン、ショパンのために分散和音を、ブラームス、リスト、たくさんの作曲家のために3度、6度、オクターブ、トリルを、短い時間で、使い物になるよう習熟します。
 そして、ピアノを歌わせ、美しく響かせる主役ともいえる「指」を育て、演奏家の財産を築くテキストが「毎日の練習12か月1・2」です。シリーズの最初に出版された『毎日の練習12か月1』は、心の扉をそっと開く気持ちで、静かに、ゆっくり、繊細に、指先の触覚に集中して練習を積みます。がむしゃらな「根性練習」「機械的で雑な練習」は絶対禁止です。指を強くするために、また「タッチのニュアンス」を覚えるために工夫された課題をこつこつ進めていくうちに、豊かな表現能力を身につけることができます。たくさんの先生方から、このテキストで勉強した生徒と、他の方法で勉強した生徒の楽曲演奏に大きな違いがある、1年経たないうちにすっかり差がついてしまったというご報告を受けています。ウォーミングアップは演奏表現を美しくするために行われるべきで、練習すればするほど、楽曲の演奏が味わいもなく個性もないものになってしまう指練習は中止したほうが良いでしょう。価値ある音型で正しい反復練習を積むことを勧めています。
 本シリーズは、子どもにも大人の再学習にも使うことができます。「美しい響き」「自在なタッチ」「早い上達」を目指して、さまざまに組み合わせて活用して下さい。テキストを用いての講座『うたう指づくり』が各地で開かれています。ぜひ参加して下さい。

●原田敦子プロフィール

広島大学教育学部卒。ピアノを阿部久子、山上雅庸、土屋徳蔵の諸氏に師事。永年にわたりヤマハ音楽教室講師を勤め、数々の現場での指導実績を持つ。また、ピアノのテキストの企画、開発への参画をはじめ、多くの出版活動に携わる。現在、ヤマハ音楽院講師。



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