1999.6月 第3号

音友「だから今、0歳からの音楽!」
〜「みるきいらんど」発刊にあたって〜

大崎妙子

   「うちの子はどうもピアノが好きじゃないみたい」「そう言えば、私も子どもの頃レッスンにいくたびに怒られてイヤだったわ。そろそろやめ時かしら……」こんなお母さま方の声を聞いたことはありませんか? 「音楽を好きになってもらいたい」「ピアノを弾けるとどんなに楽しいでしょう」という親御さんの思いで始めたピアノも、このような結果でやめてしまっては、子どもには「ピアノはイヤなもの」にしかならなくなってしまいます。なぜイヤになったのか? という理由の大半は「音楽を楽しめなかった」からではないでしょうか?
 音楽を「楽しむ」とは、まず音楽を聴いて「楽しい」「悲しい」「きれい」など感じる心を育てることであり、その上に表現力が育ちます。ですから、まず興味を持って音楽を聴こうとする意識「聴く耳」を育てることが大事だと言えるでしょう。
 また、幼いうちから音楽を聴くのは非常に良いとされています。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時から「聴く」ことができると言われていますので、おそらく五感の中で最初に発達するのが「聴く力」なのでしょう。
しかし、どんなに名曲のCDをかけたところで、子どもたちが興味を持って「聴こう」とするかは疑問です。
 そこで「みるきいらんど」は、小さな子どもたちが、より音楽を受け入れやすいように「聴く」だけではなく「見る」「触れる」を加えました。簡単に言うと、子どもの大好きな「ぞう」「うさぎ」などの動物を題材にしたピアノ曲を聴かせ、絵を見たり、帽子をかぶって音楽に合わせて遊ぶと言うものです。人間の五感のうちの3つを使って音楽を体感するので、子どもたちの興味は増し、自然に耳を傾けるようになります。慣れてくると、音楽を聴いただけで「うさぎ!」「ペンギン!」と元気な答えが返ってきます。また、この方法だと十ヶ月くらいの赤ちゃんでも十分に楽しめます。
 教室を始めた頃、まだ言葉を話せない赤ちゃんが曲を判断し、その曲に合わせて体を動かそうとする姿にとても驚きました。音楽はコミュニケーションのひとつだと言われる理由が、つくづく実感できます。また、音楽に夢中になり「聴こう」とする時の目の輝きに圧倒され、その集中力や吸収力など、能力の大きさを感じることも多くあります。
「赤ちゃんはスゴイ!」レッスンの度ごとの感想となってしまいました。
「みるきいらんど」教室の親御さん達は一様に「極めて音楽に対する反応が速い」とおっしゃいます。「一度聴いた音楽がかかるとすぐに『この間やったね』って。私は気がつかなくてスゴイなあって思いますね」(3歳)「コマーシャルでも何でも音楽がかかると歌と踊りが始まります。ああこれも音楽なんだって。大人には気がつかないことが多いですよね」(2歳)「お葬式の木魚で踊っちゃって…… 確かによく聴けば木魚は良い音だったわ」(1歳)「みるきいらんどのCDを1人でじっと聴いているのには驚きました」(3歳)などなど…… 「きっと動物に近いから耳がいいのよ」と笑って話しますが、赤ちゃんだからこそ持つ能力を伸ばし、音楽を大好きになってほしい! それが「みるきいらんど」です。


●大崎妙子
 武蔵野音楽大学器楽科ピアノ専攻卒。主として子どもたちにピアノ指導を行なう一方、1985年より「50歳以上のピアノ教室」を開講し注目を浴びる。また、1993年より乳幼児のための音楽教室「みるきいらんど」を開講、0歳から82歳までのピアノレスナーとしてユニークな活動を続ける。

●著書
 「さて、ピアノでも弾いてみるか・・・」(近代文芸社)
 「大人のピアノ長続きのコツ」(大村典子女史と共著・ヤマハ)
 「大人のためのピアノ曲集@〜C」(ミュージックランド)
                               ほか多数。



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