2001.8月 第29号

ドレミ楽譜出版社


たのしいピアノ曲集
「こどもだってジャズ&ロック」


橋本晃一

◆小・中学生のレッスンに変化を

  私の最初のピアノ曲集が出版されたのは1976年、今年はその25周年にあたります。これまでは、アレンジ曲による教本や曲集が多かったのですが、このたび記念として
「こどもだってジャズ&ロック」(ドレミ楽譜出版社)というオリジナル作品集を作りました。
  『小・中学生のレッスンに生き生きとしたリズムで変化を』というコンセプトで作られた全25曲は、クラシックの曲とはニュアンスが違うところもあるため、単純に比較はできませんが、おおむね「ブルグミュラー25の練習曲」程度の難易度になっています。
 
「サイクリング・ラグ」「ランニング・ブギ」といった、ノリのよいリズム・パターンの曲、「しかられちゃったブルース」「星降る夜のラブ・ソング」など、ハーモニーの響きに特徴のある曲、そして「きらきら星は夢の中」「メリーはひつじとハイキング」など、誰でも知っているメロディを使ったパロディ風の曲によって、ピアノを弾く楽しさや面白さ、そしてかっこよさを味わうことができます。

◆「ブルース」「ブギ」「ラグ」について

  ここで、曲名に使われている「ブルース」「ブギ」「ラグ」について説明しましょう。
  この曲集のタイトルは「ジャズ&ロック」ですが、そのどちらにも大きな影響を与えているのが、アメリカ黒人の魂の叫びとも言うべき「ブルース」です。
  本書の各曲には、ブルースの音階に含まれているブルー・ノートという音や、ブルース・コードと言われる独特のコード・パターンが数多く用いられています。
  「ブギ(ブギウギ)」は、リズミカルなブルースといって差し支えないのですが、「ラグ(ラグタイム)」は、ジャズが生まれる少し前の時代の演奏スタイルです。マーチのリズムとシンコペーションのメロディという特徴は、ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」など、クラシックの作品にもその影響を見ることができます。

◆かっこよく弾くコツ

 この曲集には、強弱記号やスラー、スタッカート、アクセント、あるいは指番号なども、ごく普通の楽譜と同じように書かれていますから、そのとおりに弾けば、様々なスタイルの感じを味わうことができます。
  しかし、スタッカートをどれくらい短くするのか、アクセントをどれくらい強くするのか、ということによってジャズらしくもなり、ロックらしくもなるのですが、それらの微妙なニュアンスをすべて楽譜に表わすことはできません。音楽を伝えるためには、音そのものを聴いてもらうのが一番で、いってみれば“百見は一聞にしかず”です。
  そこでこの秋から、作曲者自身の演奏を聴いていただきながら、『かっこよく弾くコツ』を伝授しようという公開講座を各地で開催するべく、現在準備中ですので、お近くの楽器店でそのような催しがありましたら、ぜひご参加ください。

●プロフィール

東京芸術大学音楽学部作曲科卒。作曲を長谷川良夫、北村昭、ピアノを岩崎操の各氏に師事。卒業後、スタジオ・レコーディング、楽譜出版等の作・編曲に携わりながら、その体験で得たポピュラー音楽のエッセンスをピアノ教育に生かすべく教本・曲集を執筆し、現在に至る。
日本音楽著作権協会会員。

●著 書

「おとなのためのピアノ教本1〜5」「おとなのためのピアノ曲集1〜5)」「やっぱりピアノがすき!上・下」「やっぱりすき! ピアノ教本1〜4」「楽譜の読み方早わかり」以上」(以上ドレミ楽譜出版社)ほか多数。



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