2001.2月 第23号
ドレミ楽譜出版社
本物のジャズフィーリングを学ぼう
「憧れのジャズ・ピアニスト」
中島久恵
「ジャズの名曲を数曲ソロピアノにアレンジし、CDを用いてジャズの奏法を解説する本を」という依頼を頂き、ジャズ理論をわかりやすく解説し“身につける”ことを目的としたジャズの入門書「弾ける! モダンジャズピアノ」とともに昨年夏に出版したのが本書「憧れのジャズピアニスト」(ドレミ楽譜出版社)です。
●“自由に弾く”ためにはベーシックな枠組が必要
ジャズピアニストは、コードネームから多くの「情報」を引き出すことで、楽譜に頼らず、体力の続く限り、時間の許す限り演奏することが可能です。本書では、それらの情報の中から、これだけ知って身につけていればコード付きのメロディー譜を見ただけでジャズのソロピアノが弾ける、という事柄に的を絞って紹介しています。
●“スプレッド”の響きを味わおう
本書で特に重点的に解説しているのは、1950年代に隆盛を極めた「ビ・バップ」の奏者たちに最も愛された“スプレッド”という、ぜひ“知って”“慣れて”ほしいジャズの代表的な奏法です。
“スプレッド”とは、右手でメロディーを奏しながら、コードが変わるごとに両手で、決められた約束に従って和音を入れていくというもので、低音から中高音までの間に“コードトーン”と“テンション”をまんべんなくちりばめ、両手で一丸となって奏します。テンションノートをふんだんに盛り込んだその響きは、複雑な音たちの絡(から)まり合いによる、今まで味わったことのない振動を両手指先にビンビン伝えてきます。これが実に気持ちいい。それを心ゆくまで全身で味わっていただきたいのです。そしてその音の振動を心地よいと感じることが、音楽全てにおいてのインスピレーションを引き出してくれるに違いないのです。
●リズムを歌おう
本書ではもう一つ、リズムのことにも重点を置いています。拍を立体的に感じながら、のびのびと充分に音価を保ち、リズムを歌うということをします。CDに私の情けなーい歌声(ひっくり返ったり震えたりとにかく情けない)が入っていますが、「歌わなければ弾けないゾ」ということを主張したつもりです。
●アレンジ譜演奏について
ジャズを楽譜にするとテンションや部分転調の多用から、臨時記号が多くなってしまうのですが、クラシック同様、一音一音ていねいに弾いてみて下さい。ペダルの使い方も、参考にしてみて下さい。
本書を皆さんの音楽をより豊かにするために利用して頂けたら幸いです。
●プロフィール
高校在学中よりジャズに興味を持ち、とりわけインプロヴィゼイションに強く惹かれ、卒業後本田竹広、大徳俊之、板橋文夫の各氏にジャズピアノを、今村裕司氏にリズムを師事する。
その後、自己のトリオなどで、オリジナル曲を中心に演奏活動をしている。
'93年自己のトリオでの、CD「ジュニア・ライン」をリリース。
東京・国立楽器にてジャズ・ピアノの講師を務める。
●著 書
「弾ける! モダンジャズピアノ」
「憧れのジャズ・ピアニスト」
「永遠のスウィング・ジャズ・セレクション」
(いずれもドレミ楽譜出版社 刊) |