2000.3月 第12号
全音楽譜出版社
「アルフレッド・ピアノライブラリー」
田村智子
アルフレッド・ピアノライブラリー(全音楽譜出版社)は、導入からソナチネ程度までを一貫して学べ、音楽総合学習を目指すメソードです。そして、生徒が無理なくレッスンを進めていけるよう、「導入」「基礎」の2つのコースを設けています。これらは左図のように、学習事項はほぼ同じなのですが、「導入」はよりかみくだいた内容、「基礎」は標準的な進行となります。したがって、生徒によってコースの使い分けができるとともに、一人の生徒に対しても、その時々の理解度によって、これら二つのコースを行き来できるシステムになっています。
また、それぞれのレベルには、メイン教材である「レッスンブック」をバックアップする「併用曲集」「楽典」などがあります。

●アルフレッド教本は、現代の生徒(塾などで時間のない生徒)
の状況を踏まえ、長続きするためのさまざまな工夫が盛り込ま
れています。
・一貫して復習を含みながら新しいことを一つだけ加えるシステ ムなので、生徒に過大な負担がかかりません。
・新しく学習する内容が生徒に理解できる言葉で説明されている
ので、生徒は自分が学ぶべきことをしっかりと認識することが
できます。
・次のレベルに進む場合(新たな巻に進む場合)も、巻頭に前巻
の復習項目が盛り込まれているので、レベル間の移行はスム
ースです。
●教本の目的の一つは音楽の約束事を弾いて学習することで
す。
アルフレッドの楽典は「半音→全音→テトラコード→スケール
→調号→和声」のしくみがしっかり確立されているため、コード
学習や即興演奏の学習へもつなげることができます。
◆基礎コースレベル5「レッスンブック」を例に
・ソナタ形式を生徒がわかりやすいよう、曲中に「提示部・属
調」などの「書き込み」がある。
・前打音・トリル・装飾音・モルデントの違いも明確に解説。
これら楽典的なことを学習したら、すぐ演奏をして確かめるの
で、着実に力をつけていくことができます。
●レッスンでもっとも重要な「導入」については、細心の注意が払
われています。
◆右手と左手の認識(導入コースレベルA「レッスンブック」を例
に)
・左手で弾く曲は左のページに、右手で弾く曲は右ページに配
置。
・イラストで左手や右手のどちらで弾くかが目で見てわかる。
・曲についている歌詞(「左は低いね。右手は高いね」など)か
らも学習を強化。
◆はじめて両手で弾く順序(導入コースレベルB「レッスンブッ
ク」を例に)
・1拍目を両手一緒に弾く(片手は1小節分伸ばして無理させな
い)
・両手が同じリズムで弾く(両手同じ動きは弾きやすい)
・どちらかの手で拍(ビート)をきざむ。(安心して弾ける)
以上、大まかな概略を説明しましたが、一番大事なことは教師が生徒の状況を敏感に察知して、教師の手の内である引き出しから何を取り出せばよいかを瞬時に判断できる能力を持ち、その引き出しを満たすために勉強を続けることではないでしょうか。
私どもでは、実戦に即した指導力アップのために、「アルフレッド認定講座」を企画しております。実際の現場で求められる指導のノウハウについて色鉛筆や定規などで書き込み、一般講座とは一味も二味も違った内容です。レッスンで起こるさまざまな指導の問題点を根本からチェックし、具体的指導法を提案します。
(お問合せ・ミュージックキー TEL:0559-89-3900 担当 植松)
●プロフィール
国立音楽大学ピアノ科卒。ピアノ指導者のためのThe New School for Music Study(米国)留学。グループと個人レッスンのよい部分を取り入れた「ミュージックキーシステム」で新しいレッスン形態を確立。『Music
Key Piano School』を岩瀬洋子氏とともに主宰。
主な著書に『せんかんブラザーズ』『ケンとバン』『ソーヨひめとファーデスおうじ』『オリズムピック』(全音)『わかーるワーク』(ミュージックランド)『見よ逆さ読み』(ミュージックキー)などがある。(いずれも岩瀬洋子氏と共著。) |