2007.7月 第100号


全音楽譜出版社


全音ピアノライブラリー
グリーグ
《ペール・ギュント》組曲
第1番・第2番

(関 小百合 校訂・解説/税込価格1260円)

関 小百合

 今年はグリーグ没後100年にあたるグリーグイヤー。この記念の年に、誰もが一度は耳にしたことのある名曲《ペール・ギュント組曲》のピアノ独奏版が出版されます。

◆破天荒な青年ペールの物語《ペール・ギュント》

 《ペール・ギュント》は、グリーグが曲を発表した当時から人々に賞賛され、今なお愛され続けています。しかし、意外にも「曲は知っているけれど話を知らない」という人が多いのが実際です。《ペール・ギュント》とはノルウェーの劇作家であるイプセンが書いた劇詩のタイトルであり、この物語の主人公の名前です。ノルウェーの青年ペールが送ったその破天荒で壮大な人生の物語にグリーグが全5幕(26曲)の音楽をつけて発表し、たいへんな人気を博しました。その中からグリーグ自身が人気のあった曲を4曲ずつ選んでまとめたものが、《ペール・ギュント》組曲第1番・第2番なのです。今回出版される曲集では、物語のあらすじと、各曲の場面について細かく触れた解説がついています。ペールがモロッコで見た朝の風景、ペールを誘惑するアニトラ、山の魔王の宮殿でトロル達に追い回される恐ろしい情景、ペールを待ち続けるソルヴェイグの清らかな歌等々…ペールの冒険に思いをはせながら、壮大で魅力あふれる物語を想像し演奏することで、より楽しみが増すことでしょう。

◆この曲集だけの特別収録「山の魔王の娘の踊り」

編纂にあたり、在日ノルウェー王国大使館やグリーグ博物館――トロルドハウゲンの多大なる協力により、数々の貴重な資料を得ることができました。その貴重な資料や文献に基づき、作曲家「グリーグ」や「ペール・ギュント」にまつわる珍しい写真や絵をふんだんに織り込んだ解説は、きっと興味深く読んで頂けるものと思います。
 楽譜校訂にあたっては、グリーグの自筆譜、原典版、オーケストラスコアを徹底検証し、輸入版における明らかな間違いなどを修正しました。細部にまでこだわった信頼ある実用的な曲集です。
 そして、今回最も注目して頂きたいのは、曲集の最後に収録されている「山の魔王の娘の踊り」です。当時、初版時のみ第2組曲の第5曲として収録されていたこの曲を特
別に収録しました。トロル達の饗宴を、初級〜中級の方々にもお楽しみ頂けます。

◆レッスンに取り入れたい名旋律

中級程度で演奏できる「ペール・ギュント組曲」は普段使いの教材として、また、新しい発表会でのレパートリーとしてもお薦めできるものばかりです。華やかで舞台映えする名曲が揃い、曲中にはグリーグの特徴である「叙情性」が散りばめられ、学習者の表現力習得には最適です。また、ダイナミックさや大らかさの表現も求められますので、しっかりした指作りや基本の技術を見直し、向上を図るための教材としても大いに役立つことでしょう。有名なメロディを演奏する喜びの中で想像力を培い、豊かな音色を追求する勉強にもたいへん適しています。
 記念すべきグリーグ・イヤーに「ペール・ギュント組曲」をレッスンにプラスしては如何でしょうか?

関 小百合(せき・さゆり)
国立音大、ウィーン国立音大ピアノ科卒業。イセルニア国際ピアノコンクール第3位他数々のコンクールで入賞。97年ノルウェー王国芸術祭参加「H.セーヴェルー生誕百年記念コンサート」で日本人として初めてセーヴェルーを演奏。以来ノルウェー作品への造詣を深め、紹介を続ける。セーヴェルー・ピアノ作品集(全音楽譜出版社刊)では校訂を務め、同作品のCDリリースも果たす。青山学院女子短期大学非常勤講師、グリーグ2007記念プロジェクト委員。



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