1999.4月 第1号

ドレミ「ピアノひけるよ!」

橋本晃一

  私の長女が幼かった頃、近所のピアノ教室に通い始めて間もなく、こんなことがありました。
「おとうさん、ピアノひいてあげようか」
そう言って、メロディだけの《十人のインディアン》を得意そうに弾いてくれたのです。
「このきょく、しってるからすきなの。でも、《れんしゅうきょく》はきらい。しってるきょくだけ、おしえてくれればいいのに……」
 それから十年あまり、私はずっとそのことを考えてきました。そして長女が高校生になった現在、「しってる きょくで どんどん ひける」ピアノ教本を作りました。(ピアノひけるよ!前書より)
 昨年の暮れに出版した幼児向き導入教本「ピアノひけるよ!」ジュニア@〜Bのコンセプトは、最初から知っている曲が弾けるということですが、それはとても難しいテーマでした。
 幼児がはじめてピアノに向かうのですから、「ドレドレ……」とか、「ドシドシ……」など、せいぜい2音か3音程度からのスタートとなるわけですが、しかもよく知っている曲などは、ほとんどないといってもよいくらいです。逆に、知ってる曲だからといって、はじめからたくさんの指を使うことはできません。
 できるだけ知っている曲で、無理のないカリキュラムを組むという難題を念頭において、私はこの10年間に、「やっぱりピアノがすき!」「やっぱりすき!ピアノ教本」「おとなのためのピアノ教本」「シニア・ピアノ教本」などを出版しました。これらは、それぞれ定評を得ていますが、結果として、すべて「ピアノひけるよ!」を作るためのテスト・ケースだったといっても過言ではありません。
 そうして蓄積していったノウハウの集大成が、「ピアノひけるよ!」ジュニアと、引き続き出版される予定のシニア・シリーズなのです。
 このテキストをすでに使用して下さった先生方からの、反響の一部をご紹介しましょう。
「知っている曲が多かったようで、渡した時にうれしそうだった」
「イラストがきれいで可愛らしく、曲の内容との関連性があるのでイメージがつかみやすい」
「楽譜に歌詞が入っているので歌詞唱がしやすい」
「先生用の伴奏が弾きやすく、ハーモニーもきれい」
「宿題に出さなくても、自分で次の曲を練習してきた」
「テキストの中から、はじめての発表会で弾く曲を選ぼうとしたら、いきなり3曲弾きたいと言われた」
 この教本によって、「ピアノひけるよ!」という可愛らしい得意顔を見ることのできる幸せなお父さんやお母さんが、一人でも多くなってくれることを願ってやみません。(再び、ピアノひけるよ!前書より)

●橋本晃一
 東京芸術大学音楽学部作曲科卒。卒業後、スタジオ・レコー
 ディング、楽譜出版等の作・編曲に携わりながら、その体験で
 得たポ ピュラー音楽のエッセンスをピアノ教育に生かすべ  
 く、教本・曲集 を執筆し、現在に至る。

●著書
 「おとなのためのピアノ教本@〜D」
 「発表会ピアノ変奏曲集上・ 下巻」
 「やっぱりすき!ピアノ教本@〜C」
 (いずれもドレミ楽譜出版)ほか著書多数。



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